アウギュステのお泊りデートでの夜の話。
それは、せっかく二人で来たのに仕事で今まで離れ離れになっていたとユーステスの約束の夜でもあった。
はユーステスとすれ違いが続いて、夜になっても彼に会えないまま。
ほかの団員達から心配されるのに耐え切れなくなったは海の家を出て、一人、約束の場所に向かった。
そのをカリオストロとクラリス、メーテラとスーテラとコルワ、シルヴァとククルとクムユ、ソーンのいつもの団員達が一人で出て行った彼女を心配し、その中でシルヴァが海岸に居るイルザに協力を求めようと海の家を出ようとした時、だった。
「どうしたの?」
海の家に現れたのは星晶獣のメドゥーサ、サテュロス、ナタクの三人だった。
「ふうん、あの無力なニンゲン、約束の夜になってもまだユーステスと会えないままなんだー。ウケルー」
最初、メドゥーサはがいまだにユーステスと会えない状態が続いているとカリオストロ達から聞いて、けらけら笑っていた。
しかしそのメドゥーサをたしなめるのは、サテュロスである。
「まあまあ。メドゥちゃんは気にしないでねー、君達が無力のを心配するのよく分かるよー。ああ、そうだ。あたし達の――星晶獣の力であれば、カシウスに連れていかれたっていうユーステスくらい簡単に探せるよ。にはサンダルフォンの喫茶店を手伝ってくれたお礼もしなくちゃいけなかったから、あたし達の力で、ユーステスを探して彼を待ってるの所へ送り届けてあげるよ」
「うむ。には、サンダルフォンの喫茶店でメドゥーサの意外な一面を引き出してもらったからな、それの礼をしなくてはいけないと思っていた所だった。メドゥーサとサテュロスでユーステスを探し、俺の速力もあればユーステスをの所に届けるに一番早い方法だ。彼女にその恩を返すには、これが一番良いだろう」
サテュロスは手をあげてシルヴァ達にそう提案し、サテュロスの提案に乗ったのはナタクである。
それを聞いたカリオストロはシルヴァ達と顔を見合わせた後にうなずきあい、緊張感のある面持ちで、カリオストロが代表で「がお前らの星晶獣の力を使うのであれば、人間の力を星晶獣に見せつけてその資格を得る必要がある。しかし、は戦う力が無い無力な人間だ。そこで戦えないの代わりにオレ達がお前らの相手になっていいか」と、提案したのだった。
しかし――。
「え、あたし達の力使うのに君達が無力のの代わりにあたし達の相手になる? あ、それ、普通であれば君達の言うように無力のの代わりに君達とやりあう必要あるけど、今回に限っては特別に免除してあげるよー。後でそれ請求するとかもないから、君達がそこは気にしなくていいって」
「そうだな。サテュロスの言うよう、今回は特別な話であって、それでお前達が無力のの代わりに俺達とやりあう必要はない。もしお前達がそれ気にするようであれば、あとで団長にこの件を伝えておいてくれるか。は団長の団の一員であるため、彼女の責任は団長が背負うでいいだろう」
サテュロスはカリオストロ達の提案をけらけらと笑って一蹴し、ナタクも愉快そうに笑うだけだった。
それからサテュロスは自分の提案を聞いても動かないメドゥーサの方を振り返る。
「メドゥちゃんもあたし達と一緒にのためにユーステスを探しに行こー。あたしの探知能力とメドゥちゃんの魔眼があれば、ユーステスの位置くらい簡単に分かるでしょ」
「えー。あたし、これからここの海の家でパンケーキ食べる予定があってぇ……」
「ナタクー、あたしとメドゥちゃん、背中に乗せてってー。ユーステスの所まで、レッツゴー!」
「了解。しっかり捕まってろ」
ナタクは槍を掲げて星晶獣の力を解放すると、サテュロス、そして、渋るメドゥーサを強引に背中に乗せ、カリオストロとシルヴァ達の前から飛び去っていったのだった。
「おいおい。あのメドゥーサとサテュロス、ナタクの星晶獣の力を戦わずして使えるなんぞ、の奴、三人に何やったんだよ」
「さあ。でも、戦う以外で星晶獣の力が使えるなんて、らしいじゃんね?」
のためにナタクがメドゥーサとサテュロスを乗せて飛び立ったのを見たカリオストロは参ったように笑うしかなく、クラリスはの仕業に誇らしそうに胸を張る。
「うん、うん。クラリスの言うよう、戦わずして星晶獣の力を使えるなんて、くらいよね~。しかもその理由がが待ち望んでるユーステスのためなんて、こんな素敵な話、ある? ふふ、メドゥーサ達が戻ってくるまでの間、のためにデート用のコーデ、もう一着、考えておいてあげようかしらね~」
「この話、今日、アウギュステ入りが間に合わなかったルナール達に――マキラを除くいつもの『おこたみ』メンバーに聞かせたら、悔しがるわね、きっと」
「ですね。マキラさんを除いたルナールさん達のおこたみメンバーの皆さんも私達と同じくこの日にさんのお泊りデートを心配してアウギュステ入りする予定があったんですけど、絵物語の発表会の締め切りが間近に迫っててそれのせいでアウギュステ入りが今夜か明日になるって悔しそうに話してましたからね。そのルナールさん達がさんのこの話聞けばもっと悔しがるの分かりますし、その時の皆さんの顔を見るのがとても楽しみです」
コルワはメドゥーサ達が戻ってくるまでの間にのハッピーエンドに向けての創作意欲がわいてスケッチブックを取り出しのためのデート衣装に集中しはじめ、メーテラとスーテラは絵物語の締め切りのせいでこの日にアウギュステ入りが間に合わなかったマキラを除いたルナールを中心とした『おこたみ』メンバーにとても同情してしまったという――。
メドゥーサ、サテュロス、ナタクの三人がカシウスに連れて行かれたユーステスを探しに行ってくるといってくれたが、まだ不安は残る。
ソーンは、シルヴァに向けて言った。
「ねえ、メドゥーサ達とは別に、当初の予定だったイルザの所に私達で行ってみない?」
「そうだな。私達はメドゥーサ達とは別に、組織のイルザにこの件を伝えておかなければいけないだろう。ククルとクムユも私とソーンの二人と一緒にイルザの所に行こうか」
「うん。アタシとクムユもシルヴァ姉達についていくよ」
「はいです。メドゥーサさん達だけではなくてイルザさん達の協力もあれば、お姉ちゃんについてもっと安心できるですよ」
ソーンに言われたシルヴァは妹のククルとクムユを連れて、ソーンと一緒に海岸でグラン率いるグランサイファー主催のバーベキュー大会の準備をしているイルザのもとへ向かった。
海岸に行けば、目的のイルザはすぐに見つかった。
イルザは組織のバザラガ、ゼタ、ベアトリクスのいつもの人間達と一緒になって、即席で建てられたテントの下で、オイゲン達が狩猟でとってきた獲物の解体作業を請け負っていたのである。
「イルザ、ちょっといいか」
「ん、シルヴァに妹達、ソーン。揃いも揃ってどうした」
「実は……」
シルヴァが代表して、のためにカシウスに強引に連れていかれたユーステスをメドゥーサ達が探していると、イルザにの事情を説明した。
イルザはシルヴァからその説明を聞いた後、残虐な獲物の解体現場に眉を寄せるクムユとククルを考慮してそのテントから出て、解体作業場から少し離れた場所で彼女達の話し合いに応じたのである。
「ふむ、ふむ。のためにカシウスに強引に連れて行かれたユーステスを、メドゥーサ達が探しに行ってくれたのか。確かにサテュロスの言うように星晶獣の力であるなら――サテュロスの探知能力とメドゥーサの魔眼でユーステスを探し当てるのは簡単だろうし、ナタクの速力があればのもとに一番早く届ける事が可能だ。星晶獣に明るくないシルヴァ達はともかく、十天衆として星晶獣との戦いが経験豊富なソーンであればそれくらい分かってるんじゃなかったのか?」
イルザはシルヴァからの現状を聞いた後、シルヴァではなく、十天衆として数々の星晶獣とやりあっている経験豊富なソーンの方を振り返って聞いた。
ソーンはイルザにうなずき、慎重な態度でそれに答える。
「ええ。私も星晶獣の力をあなどってるわけじゃないけど、いかんせん、相手があのメドゥーサでしょう。彼女、信用できると思う? メドゥーサはのために本気でユーステスを探さずに、自分勝手にあちこちうろついてるだけかもしれないと思ってね。イルザであれば、組織用の通信機が使えてそれでユーステスを連れて行ったカシウスとも連絡がつくんじゃないかと思ってそれで此処まで来たのよ」
「そうか。ソーン達はメドゥーサ達が信用出来ず、それで、私の所に来たのか。まあ、私であればメドゥーサ達の手を借りずともソーンの話している通りにユーステスを連れて行ったカシウスの居場所くらい、簡単に把握できる。見たまえよ、これがその組織専用の通信機だ」
イルザは得意げに、その通信機をソーンとシルヴァ達に見せる。
「わあ、これでも安心ね!」
「良かったでげす!」
ククルとクムユも安心したよう、手を取り合う。
しかし。
「だが、今はこれを使う必要はない」
イルザはしかし通信機を使わず、それを手持ちのカバンの中にしまった。
その様子を見たククルとクムユは、イルザに詰め寄る。
「ええ、イルザさんは何でその通信機使わないんですか? それ使えばユーステスさんを連れて行ったカシウスと連絡取れるんですよね! は、シルヴァ姉だけではなくて、アタシの妹でもありますから、アタシも一人きりのが心配なんです。それでユーステスさんを探してください!」
「はいでげす! イルザさんはククルお姉ちゃんの言うよう、お姉ちゃんが心配じゃないんでげすか!」
……。
「はアタシの妹、お姉ちゃん……。おいシルヴァ、私の知らない間にいつの間にククルとクムユを教育した」
「ふふふ。ククルとクムユもをユーステスの専属としてうちの工房の姉妹の一人として加えるのは歓迎すると話してくれてね。どうだ、ククルのはアタシの妹呼び、クムユのお姉ちゃん呼び、可愛いだろう!」
「ぐっ、二人の可愛さは認めるが、は月の民の末裔達の一件で本格的に私の部下の一人になったばかりだからな! そのがユーステスと正式に結ばれてその後に私をイルザお姉さまと呼ぶ日は近いぞ!」
ばちばち。イルザとシルヴァの間で火花が散る。
「……イルザさんの場合、お姉さま呼びじゃなくて別の意味の姐さんっていう方がしっくりこない?」
「はいです。イルザさんは、そっちの呼び方が格好良いでげすね」
ひそひそ。ククルはクムユに小声でそう耳打ちし、クムユもククルの意見に同意するよう、力強くうなずいている。
「はいはい、そこまで」
イルザとシルヴァの間に立つのは、ソーンである。
「不毛な言い争いはともかく、イルザ、組織専用の通信機は必要ないって、あなたはメドゥーサ達を信用しているのかしら?」
「まあな。メドゥーサ達は、たとえアウギュステでもグランサイファーの団長が目を光らせている間はそう人間に悪戯はできないだろうし、何より――」
「何より?」
イルザは口の端を上げて、シルヴァとソーンに向けて言い放つ。
「――何より力を持たないからこそ、周囲を取り込む力を持つをあなどるな、とだけ」
「――」
イルザの自信に満ちた話を聞いてソーンは、シルヴァと顔を見合わせる。
そのあとでイルザは、こめかみに指をあて、参ったように言った。
「しかし、全く、サンダルフォンの喫茶店の手伝いをしていた団長達やこの辺をうろついていたほかの団員達からも何件か報告があったがユーステスの奴、自分の仕事を優先して、せっかくの休みの日を利用してののアウギュステでのお泊りデートをほったらかしにするとは。あいつがそこまでバカとは、私も思わなかったわ。この話を聞けば私は、メグから二人の予定表をもらったうえで二人のお泊りデートについてきて正解だったな」
イルザのそれをソーンは聞き逃さず、彼女に詰め寄る。
「あら、イルザ達は、たまたま組織の休暇がこの日に重なったって話してたけど、実はを心配してこの日にアウギュステまでついてきたクチだったの? しかも、メグから二人の予定表を手に入れていたですって?」
イルザはソーンに否定せず、はっきりと答える。
「うむ。アウギュステは団長達や私達には馴染みはあるが、からすれば初めてのアウギュステでユーステスとお泊りデートと聞けば、誰でも心配になるだろ。裏で実は、に招待状を出したメグ本人からも我々の組織あてにそれの予定表が送られてきてな。団長達も私達の所にきた同じ予定表をメグから渡されたというから多分、団長達は裏では私達と同じくを心配して、この日に宿泊予約を取ってついてきたようだ」
一息ついて、そして。
「この話、一応、には内緒にしておいてくれるか」
「もちろん。私もシルヴァ達も初めてのアウギュステでお泊りデートで浮かれるが心配でメグに二人の予定聞いて、この日に宿泊予約入れたっての、内緒ね」
ふふ。イルザに手をあわせて頼まれたソーンは、自分もシルヴァ達も同じ理由でアウギュステに来たと、悪戯っぽく微笑む。
シルヴァは言う。
「多分、カリオストロとクラリス、メーテラ達もそうで、それ以外だとたまたま一緒になったっていう苦しい言い訳をしていたマキラとアンチラ、クビラを中心とした十二神将達もの様子を心配してたから、団長達やイルザ達以外でもメグにの予定を聞いてわざわざこの日に宿泊予約を入れた団員達は、私達以外にもけっこう多いと思う」
「うん。シルヴァ姉の言うよう、ユーステスさんとのお泊りデートで浮かれるを心配してメグさんに予定聞いてこの日にわざわざアウギュステ入りしたの、団長さんとイルザさん達、そして、アタシ達以外にもけっこう居るっぽいの、このアタシでも分かるよー」
「うんうん。シルヴァお姉ちゃんとククルお姉ちゃんだけではなくて、クムユも同じようにそれ分かるでげすよー。でも結果的には、クムユ達もメグさんに予定聞いてお姉ちゃんについてきて良かったでげすよね」
シルヴァは自分達以外にもを心配してついてきた団員達は多いと見ていて、ククルとクムユもそれに納得したよう、うなずいている。
「これも、力を持たずともユーステスのために頑張ってるの成せる業、かしらね」
「ふふ、ソーンもようやくの秘めた力が分かってきたようだな。心配せずともは、メドゥーサ達の力でユーステスと無事に帰ってくるだろうさ」
参ったように空を見上げるソーンと、誇らしげに胸を張るイルザと。
と。
「――イルザ、お前に報告がある」
「うわ、カシウス、お前、いつの間に私の背後に来た!」
すすす、と。イルザは、いつの間にか自分の背後に来ていたカシウスに驚き、咄嗟に彼に銃口を向ける。
「イルザの敵は、私達から見ても敵だからな。目の前のカシウスは、イルザにはどう見える?」
「カシウスといえど、油断できないわね」
「クムユは、アタシの背後に!」
「ククルお姉ちゃんの背後は、クムユに任せるでげす!」
シルヴァ、ソーンもイルザを思いカシウスに向けてそれぞれの武器を構え、ククルとクムユもお互いを守りながら背中合わせになって戦闘態勢に入る。
カシウスはしかし、武器を離さないイルザ達の前に平然と立っている。
イルザは銃を構えた状態で、カシウスに問う。
「お前、本物のカシウスか?」
「私は本物のカシウスだと思うが。ニセモノはもう、月の彼方だ」
「ふむ。その言い方、本物のカシウスで違いないな。全員、戦闘態勢を解除していいぞ」
イルザは自分の銃をカシウスから外すとシルヴァとソーン達にそう指示を出し、ソーンとシルヴァ達もイルザに従うようにそれぞれの自身の戦闘態勢を解除した。
そしてイルザは改めて、カシウスと向き合う。
「それで、カシウスはどうした? お前、ユーステスと一緒だったと聞いているが」
「その件での報告だ。私と一緒だったユーステスを星晶獣のメドゥーサ、サテュロス、ナタクの三人が連れて行った」
「ユーステスを連れて行った彼らの行先を聞いているか」
「その先でが待っているからそこまで連れていく、と」
「ほら見ろ。私の言った通りだっただろ。うちのは戦わずして、星晶獣すら味方につける」
イルザは最後、カシウスではなくソーン達の方を振り返り彼女達に向けて、此処には不在のを自慢そうに言った。
「何だ。私達が心配するまでもなかったか。は戦わずとも星晶獣すら味方につけるとはさすが、うちの妹だな!」
「うんうん。ってば、アタシ達よりやるじゃないの。さすがは、アタシの妹だわ!」
「シルヴァお姉ちゃんとククルお姉ちゃんの言うよう、戦わずして星晶獣も味方につけるお姉ちゃんは凄いでげすよ!」
イルザと同じく星晶獣を味方につけるを誇らしそうに胸を張るシルヴァと、自慢そうに語るククルと、嬉しそうにくるくる回るクムユと。
……。
「おいシルヴァに妹達、は私の妹で――」
「――はいはい、そこまでそこまで。の心配がなくなったら、私達もバーベキュー大会のお手伝いをした方が良いと思うわ」
再びイルザとシルヴァ達の間での妹戦争が始まるのをふせいだのは、ソーンであった。
「まあいい、私はバーベキュー大会でオイゲン達がとってきた獲物の解体を任されているからそっち行ってくるわ。そうそう、その前に私からソーンに話があったのを思い出した」
「私に話? 何かしら?」
「ついさっき、向こうで十天衆のシエテからソーンを見かけたら自分の所に集合するようにと声かけておいてくれと頼まれていたんだが、どうする」
「……、十天衆の任務というわけではなくてこういうお祭りムードの時のシエテからの招集、ロクな事がないのよね。というか、シエテとほかの十天衆の皆もこの日に限ってアウギュステまで来てたの? 私としてはそっちの方が驚きなんだけど」
ソーンは、イルザでシエテを含めて十天衆の人間達までアウギュステに集まっているとは思わず、目を瞬きさせて、イルザを見返した。
イルザは、十天衆の人間達までもがアウギュステに集まってきた理由をソーンに話した。
「さっきそこで会ったシエテによれば、最初にエッセルが突然に今日になって十天衆の皆でアウギュステに行きたいと言い出したんだと。シエテは特に用事も依頼もないのにアウギュステに行くのは最初は渋ったがエッセルのそれに当然のようにカトルとシスが賛同して同行、その三人を見てついてきたのがサラーサとニオで、フュンフもエッセルから今の時期のアウギュステは遊んでくれる人間が多いと聞いてオクトーを引っ張ってアウギュステ入り、エッセル達だけではなくてソーンもシルヴァ達とアウギュステに来ていると知ったシエテは自分だけがのけ者にされたくなくてウーノを強引に誘って夜になってアウギュステに入ったようだよ。それでシエテ達は、団長主催のバーベキュー大会に参加するため、追加の食料調達するための獲物確保の任務を引き受けたと話していた」
「ああ、イルザと同じようにを妹扱いしてるエッセルも、彼女のお泊りデートを心配してたの忘れてたわ……。エッセルもメグからの予定表手に入れていたのね。それで十天衆の皆が来てるなら、私もシエテの呼び出しに応じてその獲物確保の任務に参加しなくちゃいけないわね」
ソーンは、イルザと同じくを自分の妹扱いしていて、それでメグからの予定表を受け取っているだろうエッセルの存在を今になって思い出し、苦笑する。
それからソーンはなんだかんだでシエテをリーダーと認めているので彼についていく事を決めるが、シルヴァと妹達が気になり彼女の方を振り返る。
「シルヴァと妹達はこの後、どうするの?」
「……そうだな。私達は、私達と同じようにを心配していたカリオストロとクラリス、メーテラ達にはもう心配いらないと伝えておかなければいけない役目が残っている。そのあとは多分、団長達から何か仕事をもらってバーベキュー大会に参加するよ」
「あ、そっか、の件、カリオストロとクラリス、メーテラ達も彼女を心配して海の家に残ってくれてたんだった。それなら、シエテの前に、私も一緒にそこ行くわ」
ソーンはシルヴァでの件で自分達だけではなく、カリオストロとクラリス、コルワとメーテラとスーテラの三人組も彼女を心配して海の家に残っているのを思い出し、シルヴァ達と一緒に海の家に戻る決心をした。
ところで。
「カシウス、そこで突っ立ったままでどうした。お前、シルヴァ達と違って暇なら私達かほかでバーベキュー大会の手伝いをしたらどうだ。そこで団員達をさばいている団長達に言えば、何か仕事くらい与えてくれるだろう。私はバザラガやゼタ達と一緒に、オイゲンとジン達が狩りでとってきたという獲物の解体作業に戻る」
イルザは、突っ立って仕事をしないカシウスにそう言って、自分も再びバーベキュー大会の手伝いに戻ろうとしたがそれを引き止めたのは。
「イルザに聞きたい事があるのだが」
「何だ。聞いてやる、言ってみろ」
「――メドゥーサ達は何故、が待っているからと言ってユーステスを強引に連れ去ったんだ?」
「強引? カシウスはメドゥーサ達がユーステスを強引に連れ去ったと見えたのか?」
「何ですって?」
「何だ?」
「何、何?」
「面白そうな話なら、まだ此処に居るですよ」
カシウスの話にイルザだけではなく、ソーン、シルヴァ、ククルとクムユの妹達も立ち止まる。
カシウスは女達に構わず、自分の疑問を続ける。
「ユーステスはそもそも、くらい放っておけばいいと思うんだが。何故あいつは、のために動く?」
「……カシウス、もしかしてお前、今までとユーステスの関係を分かっていなかったのか?」
「とユーステスの関係、とは?」
「待て。質問を変える。カシウス、お前、今までを何だと思ってたんだ?」
「……」
……。
……。
……。
「……はグランサイファーの団員の一人、ではないのか?」
「時間かけてやっと導き出した答えがそれかい。そもそもの前提が間違ってたとは、これは私も予想外だったわ」
イルザはカシウスがについて時間をかけて導き出したその答えを聞いて、呆れる。
イルザとカシウスのやり取りを聞いていたソーンはイルザと同じよう、カシウスに呆れていた。
「カシウスは誰か――団長達から、とユーステスの男女の関係について説明聞いてなかったのかしら」
「カシウスは、団長からそれの説明聞いても分かってなかったんじゃないか。というかそもそも、カシウスの月の民の末裔達の間でとユーステスのような男女関係は成立するのか、それもよく分かってないからな」
「そうだね。シルヴァ姉の言うようカシウスの月の民の末裔達についてはまだ色々謎な部分が多いからね~、カシウスも自分の事だけど月の民の末裔達に関しては何も分かってないって聞いてるけどどうなんだろうね」
「カシウスの月の民の末裔の皆さんについては組織の皆さんだけではなく、団長さん達もよく分かってない風でげすよね」
イルザとソーンの二人と違いシルヴァ、ククル、クムユの三人は側ではなく謎が多いカシウスの月の民側に同情を寄せる。
それからイルザは咳払いを一つして、腰に手をあて、カシウスに強い調子で言ってやった。
「カシウス、いいか、よく聞け。はグランサイファーの団員の一人で間違いないがそれ以前に、私の組織の仲間の一人である」
「がお前の組織の仲間の一人? ……彼女はお前達のよう、あの封印武器と呼ばれる特殊な武器を扱えないじゃないか。武器だけではなく、魔術も使えない、ただの人間であると聞いているが。それで組織の一員だって? 私では、人間の間で通じる冗談は通じないぞ」
「私もこれについては、冗談で言ってるわけじゃない。はあの武器を使わずとも、きちんと組織の試験を受けて合格し、私だけではなくローナンにもそれを認められ組織の仲間入りを果たした凄い人間の一人であるには変わりないからな。そうだ、アイザックにも同じ事を聞いてみろ、アイザックもを組織の仲間の一人だと認識しているぞ」
「ふむ。アイザックがそうだと認めるなら私もそれを認めるしかない、か。それはいいがしかし……」
カシウスはイルザにアイザックの名前を出されての件を一応は納得するものの、まだ何か不満が残っているようだった。
「何だ。まだ不満があるのか。に関して何か言いたい事があるなら、聞いてやるが」
「しかし――ユーステスは何故、に関してあそこまで必死になれるんだ? は組織でも同じ種族で同じ女性型のグウィンかゼタかベアトリクス、それ以外ではグランサイファーのほかの団員達に任せればいいだろう」
「それは、その、とユーステスが男女の関係として成立しているからだろう。それでユーステスは、で必死になれる」
「お前達がさっきから話している男女の関係とは、どういう関係だ? 私にはそれがいまひとつ分からないんだが」
カシウスは本当に男女関係が何も分かっていない風に、首を傾げると同時に、イルザに詰め寄る。
……。
イルザは少し考え、笑顔でカシウスの肩をたたいて言う。
「カシウス、とユーステス、あの二人の男女関係については本人達に聞くのが一番早い」
「何?」
「が温泉からユーステスと戻ってきたら彼女に二人の関係性を聞いてみるといい。ユーステスは渋るだろうが、からは明確な答えが返ってくるぞ」
「そうか……。それならそれまで私はバーベキュー大会のファスティバ達の調理班に混ざろう」
言ってカシウスはイルザから離れると、ファスティバとローアイン達が中心になっている調理班のもとへ向かった。
「さて、私もバザラガ達の獲物の解体作業に戻る。そうそう、に関しては、カシウスの話を信用していい、もう心配ないだろう。万が一、で何かあれば私が責任を取る。ソーンとシルヴァ達もを気にせず、アウギュステの夜を楽しんでくれ。それじゃあ」
イルザはソーン達にそう告げてからそそくさと、組織の面々が集う解体作業の現場へと向かったのだった。
それを見てソーンはシルヴァと顔を見合わせ、そして。
「イルザは自分もみたいにイイ男と付き合って結婚したい願望あるけどそれ以前の男女関係は苦手分野だから、カシウスの質問放棄したわね……」
「うむ。カシウスにとユーステスの男女関係を深堀されると、イルザでは答えづらいのは分かるな」
ソーンとシルヴァは男女関係がイルザの苦手分野の一つであるのが分かっていて、お互いに顔を見合わせた後、遠慮なく笑いあったという――。
余談。
ホテルのロビーにて。
「メグとまりっぺに紹介された温泉、とても良かったよ! 温泉紹介してくれて、ありがとう!」
「そう。私もがユーステスさんとその温泉を満喫できたみたいで、良かったよ」
夜になってはメドゥーサ達のおかげで無事にユーステスと会う事ができて二人で温泉に入る事ができたのだった。
それからは温泉からホテルに帰ってきて、メグとまりっぺに案内されていた温泉にユーステスと入る事ができて満足したと、彼女に報告したのである。
ホテルに戻れば目の前の海岸が騒々しい。
ユーステスは海岸で何をやっているのかとメグに聞けば、メグではなく、まりっぺから「グランサイファーの団長さん達が中心になって、各地に散らばってた団員達やアウギュステの住人を集めて海岸でバーベキュー大会やってるんですよ。それに組織のイルザさん達も参加してるんで、ユーステスさんもと一緒に参加してきたらどうです?」と話して、それを聞いたユーステスはに向けて「そうだな。団長が主催でそれにイルザ達も参加してるなら、俺達もそのバーベキュー大会に行ってみるか」と彼女を誘い、も「うん、私達も団長さん達のバーベキュー大会に参加しよう」と嬉しそうに彼に返事をして、はさっそくユーステスと腕を組んで寄り添い、一緒にグラン達とイルザ達が集まるバーベキュー大会の海岸へ向かったのだった。
メグはホテルを出て海岸に向かうとユーステスを見送ったあと、まりっぺに向けて言った。
「とユーステスさん、ちゃんと、あの温泉使ってくれたみたいだな。二人を見守ってくれてた団長さん達からユーステスさんの仕事関係でとひと悶着あったって聞いてたから心配したけど、ホテルを出て行く時にユーステスさんと腕組んでぴったり寄り添ってるの見れば大した事なかったみたいで良かった」
「そうだね。とユーステスさんのあのラブラブな様子見れば、私も安心かな。それでさ、私からに関してメグに言いたい事あるんだけど」
「え、に関して私に言いたい事? まりっぺ、私の知らない間にと何かあったのか?」
メグは最初、自分の知らない所でまりっぺとの間で何かあったのではないかと不安になる。
まりっぺは腰に手をあて、面白そうにメグに詰め寄り言った。
「メグ、とユーステスさんの二人の予定表、何枚、あの騎空団の団員に送り付けたの? 私は最初、団長さん達と同じ組織のイルザさん達以外にもについてくる団員は多いの予想してたけど、このアウギュステにあそこまでの団員達が集まるとは思わなくて、おかげで観光協会の理事として彼ら用の宿泊施設を用意するの、大変だったんだけどさー」
「……あー、ごめん。初めてのアウギュステでのお泊りデートで浮かれるに何かあれば心配だったから、つい」
メグは、初めてのアウギュステで浮かれるを見ていると、かつての自分を見ているようで、自分と同じように彼女が初めてのアウギュステで失敗して嫌にならないよう、色々手を焼きたくなったのは事実で、それのせいか予定以上に団員達がアウギュステに押しかけて集まり、それでまりっぺの仕事も増えてしまった事に素直に申し訳なく思った。
「でも私もまさか、私が用意した以上の予定表が出ていくとは思わなかった。私が用意した以外――団長さん達と組織のイルザさん達以外の団員達から二人の予定表もらえないかって、いつものメーテラ達やカリオストロ達に加えて十二神将の子達、おまけに十天衆、そして、白竜騎士団を中心とした各国の騎士団の人間達やほかの団員達まで問い合わせくるなんて思わないでしょ普通。改めて、あの団での人気の凄さを実感したというかなんというか」
メグは参った風に頭をかいて、まりっぺに弁解を試みる。
まりっぺの方はメグに笑いながら、それに応じる。
「まあ、おかげであの騎空団のイケメンと美女団員目当てに外から来るお客さん多くて、それでアウギュステの良い宣伝になったみたいだから、私としてはそこそれ以上追及する気はないかな。メグがあの中で力を持たなくて初めてのアウギュステで浮かれるを心配するのとてもよく分かるし」
「そう?」
「うん。それに、この夜のバーベキュー大会と明日の大食い大会、団長さん達のおかげでアウギュステの観光が前みたいに凄く盛り上がりそうだから、私は団の皆を集めてくれたメグと、私の初企画に乗ってくれたに感謝してるんだ。ありがとね」
「まりっぺ……」
メグは、自分とに負担をかけまいと、可愛くウィンクするまりっぺに本気で惚れそうだと思った。
というか。
「……というか、私、そこまでを心配してる風に見える?」
「あれ、メグは自分のそれ気が付いてなかったの?」
まりっぺはロビーのソファに深く座り、頬をふくらませて不貞腐れた様子でメグに向けて言った。
「メグは、あの団で、と普通仲間として仲良いんだってね。私はそこ、ちょっと焼いてるかもー」
「えー。私としては、を普通仲間とは思ってないし、団に居る間はに面倒かけられてばかりだし、今回、をアウギュステに招待したのは、月の民の末裔達の事件で疲れてるだろうユーステスさん達をねぎらうためと、まりっぺのアウギュステ観光協会理事長としての初企画が成功して欲しいからであってからこそだし、そこまでと仲良いとは思わないけど……」
「そう? でも、団から帰ってきたメグは、私の前での話ばかりしてるよ?」
「……そうだっけ?」
まりっぺは肝心な部分は忘れているメグに、くすくす笑いながらその内容を明かした。
「はちゃんと試験受けてイルザさんの組織に入れただけじゃなくてそこでユーステスさんと恋人として付き合ってるぶん普通じゃないのに普通仲間って何それとか、私の思う普通とのいう普通の定義は全然違うんですけどとか、は力を持たないのにユーステスさん相手によく頑張ってるよなとか、あの団の中で一番苦労してるのに一番それを感じさせないって何なのとか、今日は団に行ってもに会えなかったつまらない、ユーステスさん一人だけ独占してずるくないか、とかさー。これ全部、団から帰ってきたメグから聞いた話だよ」
「……」
「極めつけ、無力のは私がついていないと危なっかしくて見てらんない――とか。今回ののユーステスさんとのお泊りデートだってそこまでする必要ないのに、イルザさんの組織や団長さん達に二人の予定表を浮かれた様子で送ってたの、誰だったかなー?」
「それはその、ユーステスさんはともかく、あの団でに何かあれば私の責任になるし、には初めてのアウギュステで私みたいに失敗して欲しくないと思って……。おまけにユーステスさんてば、皆が予想していた通り、と二人きりのデートでも自分の仕事ばかりでをほったらかしにしてる場面が多かったっていう報告がほかの団員達からあったし、それで、そのぉ」
まりっぺにそれを指摘されるもメグは、自分の髪をいじりながらなんとか言い訳を試みる。
まりっぺもメグにうなずき、言う。
「まあ、目的の温泉行くまでに、ユーステスさんの仕事に振り回されてたって、イルザさんと団長さん以外の団員達から何件か報告あったの、私の耳にも入ってきてたよ。仕事人間のユーステスさん相手にするが大変なの分かるし、そのを心配するメグの気持ちも分かる」
「ユーステスさんもユーステスさんだよ。こういうバカンスで二人きりのデートの時くらい、仕事を忘れてと一緒に居てあげればいいいのに」
「そうだね。はでも、ユーステスさんのそこの部分にも惚れてるんじゃないの? ユーステスさんが自分の仕事より彼女を優先するような人であればは、ユーステスさんに一気に冷めそう。メグものそこ、分かってるんじゃない?」
「……そうだな。は、ユーステスさんが仕事人間じゃなくて彼女を優先するような男であればそこまで惚れてない、それ、私の前でも話してたわ」
メグは、はユーステスが仕事人間であるのを分かって組織まで押しかけてきたし、仕事より彼女を優先するような人間であるならここまでついてきていない、と、笑って話していたのを思い出した。
「は、仕事でカッコイイユーステスさんを見るのが好きなんだよ」
「うん。のそれは私にも伝わってるよ」
一息ついて、まりっぺは続ける。
「それだけじゃなくて、自分が我慢したぶんだけ、ユーステスさんに与えられるものが大きいってのも分かってると思うんだよね」
「は自分が我慢したぶんだけ、ユーステスさんに与えられるものが大きい? 何それ、どういう意味?」
メグは最初、まりっぺの話の内容が分からなかったけれど。
「ユーステスさんは組織でも団でもに何かあれば誰よりも真っ先に彼女のもとへ駆けつけてくれるし、何より――」
まりっぺはメグに近付き、彼女に耳打ちする。
「何より、温泉でユーステスさんとすでにヤッちゃってるでしょ」
「!」
メグは、まりっぺの話を聞いた途端、一気に顔が真っ赤になり、思わず、まりっぺと距離を取る。
「ヤ、ヤっちゃったって、なに、はユーステスさんと温泉で何をヤるんだ?!」
「さっきの、の髪の乱れようと火照り具合見れば分かるっしょ。あれ、確実に温泉でユーステスさんとヤッてるよねー。それ以外でもは、人目も気にせずユーステスさんとイチャイチャできる時はイチャイチャしてるしさー。はユーステスさんに与えらられるもの与えられてそれに満足してるから、彼が仕事人間でも離れられないんじゃないのぉ?」
「が男の人から与えられて満足するって、その、あの、ええと……」
「メグってば、この手の下ネタ、苦手だったっけ。あーでも、ここでハッキリさせた方が良いよね。って、ユーステスさんとすでにエッチくらいしてるっしょ?」
「!!!」
まりっぺにハッキリと言われたメグは、ゆでだこのように真っ赤になって、ロビーのソファに倒れ込んでしまった。
まりっぺは慌ててメグの隣に座り、彼女を支える。
「メグ、大丈夫?」
「大丈夫。大丈夫だけど、ってやっぱ、その、ユーステスさんとヤるコトヤッてるの、かな?」
「それくらい、二人の雰囲気見れば分かるじゃん。月の事件の後にユーステスさんと復縁しては、明らかに雰囲気変わったというか、大人っぽくなってるしさ、彼とヤるコトヤッてる感じだよねー」
「……」
「あれ、メグは、のこれには予想外にショック受けてる?」
「いやまあ、うん、私もが月の事件の後にユーステスさんとすでにヤッてるのは予想してたけど、まりっぺにそこまでハッキリ言われると思わなかったから……」
まりっぺにその事実を突きつけられて参ったようソファに深く倒れるメグと、この手の下ネタで思った以上に参っているメグを意外そうに見るまりっぺと。
因みに温泉でのはユーステスとは明日もまだ、まりっぺの企画したカップルイベントの一つである大食いイベントがあるのでそれを考慮して最後まではヤらずに寸止めだったが、まりっぺはその事実と可能性を知らないで最後までヤったのではないかと決めつけている。
「ありゃ、メグにはこの話題、刺激強すぎたかー。あの団、イケメンと美女が多く居るのにが来るまでその手の男女関係の話が皆無だって聞いてたけど、まさかここまでとは。年ごろの団長さんもで色々、大変そうだねー」
「はは。団長さんもで大変なの分かるし、私が日頃の心労をねぎらうためにアウギュステに招待するべきはとユーステスさんじゃなくて、団長さんだったか……」
メグは、グランのへの秘めた思いを知っているので、今回はよりもグランをアウギュステに招待するべきだったかと、苦笑するしかなかったという――。