九月の話。
実は、高校生の頃、これと同じ経験をしました。我が家の愛犬が、転校生と同じ名前だったのです。愛犬はメスで、転校生は女子でしたが。私がその事実を彼女に明かすと、その子は笑っていたので別に気にする問題でもないと思いましたね。
十月の話。
一年の物語を始めて、十月……、十月何があったかと初めて詰まって、思い悩んだ末、出来あがった話がこれです。お題はただの短編集ではなく、実験的な物語を作ろうと思い立ったのもこれが最初でした。一人称の後に会話が続いてその後も一人称で、というスタイルは余り見た事が無かったので。
十一月の話。
これも実験的な話です。十代の女の子が主人公ですが、珍しく恋愛ではなく家庭をテーマに書きました。
十二月の話。
どちらが狂気か。……この一文を書きたい為だけに仕上げた作品です。自殺した人間の方が狂気か、それとも冷めた目でそれを見下す生きている人間の方が狂気か。どちらも同じように狂っている感じが書きたくてこうなりました。
一月の話。
十二月と変わってこちらは幸せな話になりました。会話だけの文というのも、初挑戦でした。第三者からしてみれば一見無意味な会話でも、当事者にとっては重要で幸せなんですよ。
二月の話。
二月といえばバレンタイン。でも普通のバレンタインでは面白味に欠ける、と思い舞台をファンタジーにしたものです。サリィと魔人セキ、館長のグレン、そしてチョコレートをねだるセンリ。彼等の話は、お題の中でも気に入っています。
三月の話。
三月と四月は繋がっていて、しかも時間では三月の方が四月より後の話、という具合にしたくてこうなりました。
四月の話。
三月の前の話が四月の話です。三月で行方不明の男の結末が此処で明らかになるという仕組みです。余り上手くはいきませんでしたが。
五月の話。
五月といえば五月病。男女間のやり取りと見せかけて実は男同士の友情話だったりします。良く読めば「私」が男であると分かるかも、しれません。多分。
六月の話。
珍しくベタベタな少女マンガ風の話になりました。雨と雷。驚く彼女と平然な彼。停電で更に親密さが増していく。使い古された手と思いますが、私は好きです。
七月の話。
花火と星、これのタイトルに深い意味はありません。沙耶は元から直太に振られるという設定で、書きました。最後、沙耶と直太は仲直り出来ずに終わるという本当の悲恋も用意していたんですが、やはりこういうカタチに落ち着きました。今ではこの話で良かったと思います。
八月の話。
実に難儀でした。最後の最後で話に詰まりました。だから長くなってます。読むのに覚悟がいります。あまり深く考えずに読んで頂ければ。
では、一年を通して最後まで付き合ってくれた皆さん、途中参加でも読んでくれた皆さん、「夜の羊」に訪問してくださった皆さん、それぞれに感謝を込めて――、ありがとうございました。