人が死んでいる。
道の上で、血を流して人が死んでいた。
着ているものから男だと判別出来る。学生服。そう、彼はまだ学生だった。
どうやら彼は、ビルの上から飛び降り自殺を図ったらしい。
まだ若いのに、彼を自殺に追い込んだ動機は何なのか考えようとして――、止めた。
道行く人達が彼の人の死を哀しむ事無く、せわしなくその死体の横を足早に通り過ぎていく。
まるで自分には関係無いような素振りで。
それでも正義感の強い人は、携帯電話を手にして慌てた様子で救急車を呼んでいる。救急車が来た所で役に立たない事は、連絡をした人でも分かっている筈だ。
そう、私も早い所、こんな所でぐずぐずしていないで、会社へ向かわなければいけないのに。
それなのにまだ此処に居るのは。
冷めた目で、死体を見下ろしているのは。
雪に溶けて染み込んでいく血の様が、とても綺麗だったせい。
ああ、こんな私でも此処に生きていると言うのに。
私は救急車が到着したのを確認してから、いつものように会社へと向かう。
それは、雪が積もった日の些細な出来事。