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「さて、清水さんとの契約通り、二人の名前を新聞に載せて貰うよ。異論は無いね」

 拓海に晶と聡史は頷く。
「こんなに上手く行くとは思わなかったけど。流石、少女漫画を読んでいるだけの事はあるな」
「え」
 康一の話に晶は意外そうに、拓海を見上げる。
「今回、白木さんと高橋君の段取りを考えたの、全部、部長なんだよね」
 顔を赤くする拓海をからかうように笑うのは、香織だ。
「流石、少女漫画オタク? ここまで来ると鳥肌立つよ」
「はは、それは褒め言葉として捉えていいんだよね。うん、僕はこう見えて少女漫画を愛読しているからね」
 身震いする香織に屈する事無く、拓海はあっさりと認めてしまう。
「この本日の恋人達っていうコーナー考えたのも、部長だしね」
「評判は上々だから、いいけど」
 康一の話に呆れつつも、香織の語句には拓海への尊敬の意を含んでいる。
「それじゃあ、俺達はこれで失礼します」
「あ、景品あるから、受け取って」
 席を立ち、美術室を出て行こうとする聡史達を引き止めるのは、拓海である。
「景品?」
「そう、新聞に名前載せると情報料として、これあげる事になってるの」
 拓海に促されて香織が聡史と晶に差し出したのは、四本のボールペンだ。内訳は赤色一本、青色一本、そして黒二本。
「赤は白木さんに、青は高橋君に。黒は清水さんと小松君にね」
「え、俺もいいんですか」
 香織に遠慮するのは勇太だ。依頼をしたのは奈々子であって、勇太ではない。
「清水さんの協力者でしょ、問題無いから」
「ありがとうございます!」
「……勇太?」
 香織に敬礼しつつ、手を取る勇太に後ろから殺気立たせるのは、奈々子の得意技の一つだ。勇太はその殺気にあてられ、慌てて香織から離れる。
「冗談だよ、冗談」
「勇太」
「……すみません」
 奈々子に小さくなりながら、降参する勇太に場に居た全員が笑う。
「それじゃあ、名前が載るのをお楽しみに」
「色々、ありがとうございました」
「それじゃあ、またね」
 拓海に一礼する奈々子に香織が手を振る。
「白木さん」
 美術室を出て行く晶を引き止めるのは、康一だった。
「機会があればまた、昼を一緒にしよう」
「うん」
「おいおい」
 康一に容易く応じる晶に、聡史が不満の声を上げる。
「大丈夫。その時は聡史も奈々子ちゃんも、勇太君も一緒だから」
「え」
「皆で幸せを共有しないとね」
「そうだな」
 口の端を上げて笑う晶に、聡史も充分に納得して笑った。