そして、それから。
十二月。
二ヶ月に一度、発行される学校新聞が職員室横にある掲示板に、張り出された。
新聞が張り出された掲示板の前には相変わらず、女の輪が出来ていた。
彼女達の目当ては勿論、本日の恋人紹介のコーナーである。
「やっぱり、あの二人付き合ってるってー」
「ほら、私が言った通りじゃない」
「えー、私はその予想、外れると思ってたけど」
「いやいや、幼馴染は強いんだって。幼馴染っていいよね、萌えるよね!」
「あんたの言っている意味が分からないから」
その輪の中に、三つ編みで眼鏡をかけて目立たないようにしている、波多野香織の姿があった。
香織の手には手帳がある。
「でも、良く二人の名前が載ったもんだわ」
「そうだね。二人とも、前は違うって言い張ってたのにさ」
「今ではすっかり、人目も気にせずにラブラブだもんねえ」
「なんか新聞部が暗躍してたって噂だけど」
「またそれ? 本当なのかな、その話」
「私も知り合いに聞いてるだけだから、分からないけど」
「本当だったら、私も新聞部に頼みたいなー」
「何それ、あんた何時の間にそんな人が出来たの!」
「あ、いや、それは……」
彼女達の話を耳にして、香織は密かにほくそ笑む。
「次、名前載る人、誰だろうね?」
「次はあの二人じゃないかなー。ほら、一年の田中さんと二年の里中先輩」
「あー。何かありそうだね」
「いつも一緒に居るしねー。どうなんだろう」
「新聞部ならもう、その二人に目を付けてるんじゃない」
ぎゃはは、と彼女達の笑い声が香織の耳にも届いた。
香織は早速、手帳に田中と里中の名前を書き込んだ。
そして、香織は自分が手がけた学校新聞を見た。その中にある、本日の恋人紹介のコーナーには、記事担当の名前は松木拓海になっている。
本日の恋人達のコーナーにある名前を見て、香織は微笑する。
香織は名前を確認したあとで満足して、女の輪から抜けた。
白木 晶(一年三組)
高橋 聡史(一年三組)
上記の者、両者本人確認の上、正式に恋人同士であると認める。