そして。
「夜になってファスティバさんとジャミルが来て少しの間、休憩になったけど、その間、はどうするんだ?」
夜になって暗くなった頃にファスティバとジャミルが現れ、交代で休憩になった。
休憩といっても一時間くらいで、はそれが終われば再び、ファスティバとジャミルの食堂の仕事に合流すると話した。
グウィンは、は、この団では食堂の仕事以外でも、メイドのクラウディアに言いつけられた掃除や洗濯物、ルリアとの星晶獣の勉強で忙しく働いていると話している。
――は組織では技術部の一員としてイルザ教官の兵士達や星晶獣のデータ入力を頑張っているし、この団でも料理に掃除にと、戦う力を持たずとも、本当、忙しそうに働くよな。いつ、休んでんのかな。気になる……。
グウィンは、戦う力は持たずとも皆の世話係として奮闘するに素直に感心を寄せると同時に、彼女の休める時間はあるのかどうかとそれが気になった。
「そうだ。いい休憩場所知ってるんだ。グウィンも来る?」
「ああ、と一緒についていくよ」
グウィンは、のいういい休憩場所についていく。
がグウィンを連れてきた場所、そこは。
「皆、居る?」
「、いらっしゃい。あれ、今回はグウィンも一緒?」
とグウィンを出迎えたのは、おこたみメンバーの一員であるミラオルだった。
部屋にはミラオルだけではなく、おこたみの中心人物であるルナール、ミラオルといつも一緒のザーリリャオー、メリッサベル、十二神将の一人でありながら組織にも協力しているマキラが揃っている。因みに『おこたみ』の主要メンバーの一人、シェロカルテは留守だった。
「この部屋、おこたの……」
「うん。此処、おこたみメンバーが集う、おこた部屋だよ」
が案内した先は『こたつ』部屋で、そこには季節関係なく『こたつ』にとりつかれた『おこたみ』メンバーが集う部屋でもあった。
は、おこたみメンバー中心人物であり、こたつに堂々と座ってスケッチブックを手にイラストを描いているルナールに聞いた。
「ルナール、グウィンも一緒にいいかな?」
「ええ、もちろん、グウィンも歓迎するわ。わたし達は、おこたを愛してくれる人間であれば、誰でも受け入れてるのよ。グウィンも気楽におこたに入ってね、そして、そこが気に入ってくれればいつでもどうぞ」
「は、はい、失礼するッス……」
にっこり。ルナールは『おこたみ』のメンバーの中でも緊張しっぱなしのグウィンを見て微笑み、グウィンはこれまた凄いメンバーだなと緊張感を持って、はじめてその『こたつ』に足を入れる。
「おお、こ、これは……!」
「ふふふ。グウィンも皆と一緒に『おこた』の魅力に取りつかれるといい!」
は、こたつの魅力を知ったグウィンを見て、何故か悪役っぽく笑う。
グウィンはそのを見て彼女に聞いた。
「そういえばは、この『おこたみ』の一員なんだっけ?」
「うん。私もこの『おこたみ』の一員だよ。此処に来てない人間で一員なのは商売人のシェロさんと、イオちゃんかな。グウィンもおこた気に入ったら、おこたみになる?」
「いや、自分は『おこたみ』は遠慮しとくよ……」
グウィンはほかのメンバーは特に気にしないが、『おこたみ』を立ち上げたルナールとは気はあいそうにないと思ったので、の勧誘を断ったのだった。
「そうそう、グウィンは、この団の新入りとして皆に挨拶に来たんだって。皆、よろしくねー」
「よろしくッス」
に言われたグウィンは、ルナール達に恐縮するよう頭を下げる。ルナール達もそれに応じるようにそれぞれ「よろしくね」と、グウィンに返事をしたのだった。
それぞれ挨拶を終えて『こたつ』に足を踏み入れたグウィンはしかし、『こたつ』を堪能する『おこたみ』メンバーを見回して呆れる。
「って、皆、こたつでだらけてるだけじゃん……。十二神将の一人だけどうちの組織でも協力関係にあってそれでイルザ教官達と対等に話しててイルザ教官と一緒に戦う姿もカッコイイと思ってたマキラさんも気が抜けたようにだらけてるし!」
「はは。グウィン君、此処に入ったらもう、ダラダラするしかないんですよ。ダラダラしているうち、此処から抜け出せなくなって、そうなれば晴れておこたみのメンバーに仲間入りですからね」
グウィンは十二神将の一人でもありイルザの組織に協力してくれて普段は格好良いマキラであるが、『こたつ』でだらけるマキラを見て少しガッカリする。マキラの方はしかし、グウィンに構わずに『こたつ』でだらけていたのだった。
それだけではなく。
「グウィン、おこたの上にあるスナック菓子とお茶も遠慮せずどうぞ、だよ。ここの物資は、わたし達と同じ、おこたみのシェロカルテからの提供だから、遠慮しないでね」
「ど、どうもです。ああ、マキラさん同様、いつも戦う姿がカッコイイと思ってたメリッサベルさんの、お菓子食べながら寝そべる姿を見られるなんて……」
ぱくぱく、むしゃむしゃ。グウィンはマキラだけではなく、こたつで寝そべってお菓子を食べてだらけきるメリッサベルを見て泣きそうになるも、堪える。
「グウィンって、意外と自分の中の理想持ってたのね~」
「おこたの部屋に来るとグウィンさんのよう、その理想が崩れるからってわざと此処に来ない人も居ますからね……」
ミラオルとザーリリャオーは、この部屋で自分の中の理想が崩れて泣いているグウィンに同情を寄せる。
ルナールは胸を張って言う。
「でも、理想を持たれる中で、こういう休める場所があるのは、いい事だと思うわ。いつも理想を崩さないで過ごしているのも大変でしょう?」
「うん、ルナールの言う通りだね。わたしも此処で横になっておおっぴらに理想崩してるし、もその一人だからね~」
「え、もその一人?」
ルナールに続いてメリッサベルに言われ、グウィンはもその一人だとは思わず不思議そうに彼女を見詰める。
と。
「、? あれ、、寝ちゃった?」
グウィンがを見れば彼女もメリッサベルと同じく、横になって寝息を立てていた。体を揺さぶっても起きる気配はなく。
「、まだ夜にファスティバさんの手伝いがあるから、起きてた方が良いんじゃ……」
グウィンは寝ているを心配して彼女を起こそうとするも、それを引き止めたのは。
「グウィン君、は起こさない方がいいですよ」
「マキラさん?」
マキラは微笑み、言う。
「はこの団では皆のために忙しく働いてますけど、実際は疲れてるんですよ。でも、力を持たない自分は団の皆の前で普通に休んでいいかどうか分からない、もそういう時にこの『おこた』の部屋を利用してるんです」
「あ……」
グウィンは思い出す。
力を持たないせいか、弱音を吐かずに皆の前で忙しく動いているの姿を。
メリッサベルもマキラに続いて、グウィンに向けて言った。
「そそ、もたまに此処に来て皆の知らないうちに此処で休んでるんだよ。グウィン、それだから時間が来るまでを起こさないであげてね」
「そうだったんですか……。自分もは力を持たずともこの団では忙しそうに働いてて大変そうに思っていて、いつ休んでいるのか分からなかったので、ここでそれが分かったのは良かったのかもです」
うん。グウィンは、マキラだけではなくメリッサベルにもそう言われ、時間がくるまで寝ているを起こさない事にした。
そして。
「グウィンもと一緒ね?」
「え、自分もと一緒?」
グウィンはミラオルに指摘されるも、それの意味が分からず怪訝な顔になる。
ミラオルは遠慮なくグウィンに言い放つ。
「グウィンも晴れてこの団の一員になれたはいいけど、新入りだから、ほかの団員――先輩達への気遣いで色々疲れてると思うし、何より、はグウィンにも団の先輩達でも後輩に気兼ねなくこうやってのびのびやってる所を見せたかったんじゃない?」
「あ……」
続ける。
「はグウィンのそれが分かって、グウィンを此処に――おこたの部屋に連れて来たんだと思うわ。それだからグウィンも先輩達に遠慮せずに此処でのびのび、だらけるといいわよ。此処では、それに文句言う人間は一人も居ないんだから」
「です、です。ミラオルの言う通りでグウィンさんも、わたし達と一緒に此処でのんびりしていけばいいですよ~。此処では先輩も後輩も関係ないですし、此処で疲れが取れれば皆さん、また日常の雑務に戻ってますから」
「……そうだな。此処で色んな人――自分より強い人を見て、色々疲れてるの、も分かってたのかも。たまには、此処で休むのもありか……」
ミラオルとザーリリャオーに言われたグウィンは、皆と同じよう、こたつでだらける。
そしてグウィンは、床に積まれてある本を発見して、それを手に取り、ルナールに聞いた。
「なあ、ルナール、此処に積まれてる本、読んでいいか?」
「どうぞ、どうぞ。ああ、からグウィンは読書家と聞いているけど、どんな本が好きなの?」
「んー、歴史系とか戦術書とか好きかな。此処に積まれてある本、ルナールの私物?」
「大半は、そうよ。ほかは、誰かが読まなくなった本も持ち込まれる事が多いわね」
「ルナールは絵も上手くて絵物語も描いてるってから聞いてて、今もスケッチブックで何か描いてる風だけど、どんなの描いてるんだ?」
「……ふふ、私が今、何を妄想して描いているのか、グウィンを前に言うのは気が引けるわね」
「はい?」
不敵な笑みを浮かべるルナールと、それに戸惑うグウィンと。
ルナールは反対に、グウィンに聞いた。
「ねえグウィン、あなたのお兄さん――アイザックさんは、お元気かしら?」
「アイザック? アイザックなら、うざいくらいに元気だけど、何でルナールが自分の兄のアイザックを気にするんだ?」
「ふふ、ちょっとね……。ああそうだ、カシウスはどう? アイザックさんとカシウスって、月からこっちに帰ってきてからだいぶん経つけど、現在も仲良いの?」
「仲良いのか分かんないけど、月から帰ってきたアイザックとカシウスは今も変わらず、いつも二人一緒に技術部の倉庫に居るけど」
「そう、アイザックさんとカシウスは技術部の倉庫でいつも一緒……。ふふ、私の妄想通り……、ふふふ……」
「?」
グウィンのアイザックとカシウスの話を聞いて素早く手を動かして不気味な笑みを浮かべながらスケッチブックに何か描いているルナールと、ルナールの話が分からず怪訝な顔になるグウィンと。
その間、ミラオルとザーリリャオー、メリッサベル、マキラの四人はルナールが何を妄想して描いているのか察して、グウィンを笑顔で見守るだけに徹していたという――。
と。
「――、居るか?」
「え、ユーステスさん?」
「!」
トントン。扉がノックされ開けて入ってきたのは、ユーステスだった。
ユーステスの登場にグウィンは素直に驚き、ほかの『おこたみ』達もざわつき、ルナールは今まで持っていたスケッチブックを『こたつ』の中に素早く隠し、もう一冊の新しいスケッチブックを取り出して固唾を飲んでユーステスの様子を観察する。
ユーステスは『こたつ』を囲むいつものルナール達を見回した後、同じように『こたつ』に入るグウィンを珍しそうに見詰めて言った。
「此処でグウィンも一緒とは、珍しいな」
「あ、あれ、今日、ユーステスさん帰ってくる予定あったんッスか? からはユーステスさんは、明日に帰ってくるって聞いてたんですけど。もしかして、イルザ教官の組織で何かあったんッスか?」
――イルザ教官の組織で何かあって、自分が呼ばれたのだろうか。その間には、この団に隠れていろとか? グウィンの方はユーステスの突然の登場に緊張感が走る。
ユーステスは相変わらず何を考えているか分からない無表情で、グウィンに自分の状態を説明する。
「組織外の仕事があったんだが依頼主の事情で予定が変更になってな、早めに仕事が終わった。イルザの組織で何かあったというわけではないから、グウィンが俺の事を気にする必要は無い」
「……ああ、そうでしたか。それ聞けば安心です」
グウィンはユーステスから事情を聴いて、本当に安心したよう胸を撫でおろした。
そして。
「仕事が早めに終わったユーステスさんは、を迎えにきたんですか?」
「ああ。を迎えに来れば、団長からはいつもの『こたつ』部屋に居ると聞いたんだが。はどうした?」
「え、ええと、ならそこで寝てますけど……」
グウィンは少しドキドキして、が寝ている場所をユーステスに示した。
ユーステスは寝ているを見て、呆れた様子で呟くように言った。
「何だ、の奴、寝てるのか。間が悪いな……」
「あ、あの、ユーステスさん、は疲れて寝てるだけなので、そこまで悪くは――マキラさん?」
グウィンは、が寝ているだけで不機嫌そうなユーステスに慌てて弁解を試みるが、それをつついて止めたのはマキラである。
マキラは自分の唇に指をあて「黙ってて」と、グウィンに指示を出す。ルナール達もそれに力強くうなずいていたので、グウィンは仕方なくそこから引き下がった。
その間。
「が疲れて此処で寝ているのは、俺も理解している事だ」
言ってユーステスは何を思ったか、寝ているを軽い調子で抱え上げたのだった。
いわゆる『お姫様抱っこ』でユーステスに運ばれるを見て、さすがにグウィンは声をあげてそれを引き止める。
「あの、ユーステスさん、をどこへ連れて行く気ですか? ユーステスさんのそれ知らないは、この後にファスティバさんの手伝いがあるって言ってたんですけど……」
「の目が覚めるまでは、自分の落ち着く場所でと居る。の目が覚めれば一緒に艇を出て、自分の家に連れて帰るつもりだ。ああ、ファスティバと団長にはもうそれの許可を取ってあるから、お前はそこの心配しなくていい」
「あのぅ、、此処で起こさないんですか?」
「此処で起こせば、騒がれてうるさいだけだ。この状態の方が大人しくていい」
「ユーステスさんって……」
「何だ」
「いえ、何でもありません」
「グウィン、悪いが、俺とが出て行った後にドア、閉めておいてくれるか」
「了解です」
「助かる。それじゃあ」
言うだけ言ってユーステスは寝ているを抱えた状態で、グウィンの前から出て行ったのだった。
ばたん。
グウィンは、ユーステスとが出て行ったのを確認して、静かにドアを閉めた。
そして――。
「ねえ! 今の! 今の、ユーステスさんのをお姫様抱っこする様子、見た?! 見たわよね!」
「ふふ、抱っこする時にを起こさないように彼女を慎重に持ち上げてたのも、しっかり見たわよ!」
「ユーステスさんて、ほかは相変わらず冷たくて厳しいですけど、寝てるさんを起こさないようにしてくれるなんて、さんには本当、甘いですよね~」
「うふふ、いつも不機嫌で冷たい彼と、その彼を一番に理解していて裏でほぐしてくれている素直でいい子の組み合わせって、昔から根強い人気あるのよね! おまけにユーステスさん、ザーリリャオーの言う通りで、の前では冷たくて素っ気無いけど、裏ではにめちゃくちゃ甘くて独占欲が強いのもたまらないわ。ユーステスさんとのカップル、まさしく私の理想のカップルだわ~!」
きゃああっ。今のユーステスとの様子を見ていたルナールが興奮した様子で声をあげ素早い動きでスケッチブックに何か描いていて、ミラオルとザーリリャオーもその様子を見てにこにこ笑顔で、盛り上がる。
「ええと?」
グウィンは、ルナール達の様子を、彼女達と違って動じていないマキラとメリッサベルに説明を求める。
マキラとメリッサベルの二人はグウィンにうなずき、ルナール達の様子を冷静に説明する。
「今回、『おこた部屋』が初めてのグウィン君は知らないかもですけど、ユーステス君が予定外でこの『おこた部屋』までを迎えにくるの、今回だけじゃなくて、何回かありましてね。そこで無自覚にといちゃつくユーステス君で、ルナール達も栄養もらってるんですよ」
「うん。ルナール達はこの部屋で、とユーステスの無自覚イチャイチャを見るのが栄養剤なんだって。中でもルナールは、とユーステスのそれ見て創作意欲もわくっていうから、コルワと同じだね」
「はあ、そういうわけが……ッ?!」
きゃーっ。グウィンはマキラとメリッサベルからルナール達の説明を聞いている間、部屋の外で黄色い悲鳴が聞こえて何事かとドアを開ける。
「ねえ、ルナール達も今の見た?! ユーステスにお姫様抱っこされる!!」
「マジでヤバイんですけどぉ!」
「何故か胸がドキドキしますね!」
ドアを開けた途端にそこになだれこんできたのは、昼に艇を出て行ったと思っていたコルワ、メーテラ、スーテラの三人だった。
「あれ、コルワさん達は、昼に出て行ったんじゃ……」
コルワはグウィンに手持ちの紙袋を見せ、言う。
「に組織の会合で着ていく服が出来上がったから、に届けにきたの」
「え、もう出来上がったんッスか?」
その日のうちにドレスが仕上がるものなのか? グウィンは素直にコルワに疑いを持つ。
コルワは言う。
「今回はいつもの服にプラスって感じだから、そこまで手間取らなかったのよ。でも残念ね、ユーステスがをさらっていったんじゃ、届けられないじゃない」
コルワはをさらっていったユーステスに不満を持つも、顔はとても嬉しそうだった。
それからコルワはルナールに近付き、彼女に向けて手を差し出した。
「ねえ、ルナール、スケッチブック一冊借りていい?」
「いいわよ、どうぞ」
「ありがとう」
コルワはルナールから新しいスケッチブックを借りると『こたつ』に入り、ルナールと同じく、素早く手を動かしながら何かを描き始めた。
「コルワさん、何やってるんッスか?」
「……」
「コルワさん?」
「……」
コルワはスケッチブックに集中しているせいか、グウィンに何も答えない。
代わりに。
「コルワは、には組織の会合に着ていく服のデザインだけを注文されてたんだけど、今の、とユーステスの無自覚イチャイチャ見て、それとは別に創作意欲がわいてきちゃったみたいね。グウィン、今の集中してるコルワに声をかけない方がいいわよ」
「はい。コルワさん、さんのためにもう一着、ドレス作る気になったみたいです。いいですね、さんも喜びますよ。メーテラ姉さんの言うように、今の集中しているコルワさんには何言っても無駄ですよ」
「はぁ、そうだったんッスか……」
グウィンはコルワ本人に聞いたつもりであるがコルワはそれに集中していて答えず、代わりにメーテラとスーテラの姉妹がそれに応じ、二人も遠慮なく『こたつ』に入ってきた。
「いやー、ユーステスとの無自覚イチャイチャ、前回は頭ナデナデ、その前はお互いに抱き着いて離れない、その前はがユーステスのエルーンの耳を触れてる間にユーステスはの髪に触ったりで、こちらとしてはいいもの見させてもらってありがとうって感じよね~」
「私もいつか、あんな素敵な男の人を選びたいですね~。あの組織の中でユーステスさんを見つけられたさんが羨ましいです」
メーテラとスーテラの話を聞いて、ふふふと笑いながら、ルナールも反応する。
「うふふ、メーテラの言う通りでとユーステスさんの無自覚イチャイチャ姿は本当、いつもいいもの見させてもらってありがとうって感じだし、私のスケッチブックではそれがシリーズ化されててそのコレクションも順調に増えてきてるわ。後でそれ見返すのが楽しみなのよね~」
「ルナールの描くとユーステスの無自覚イチャイチャコレクション、私も後で見るのが楽しみだわ」
「それ、ルナールさんの絵物語の素材としても、優秀ですよね。でもそれ本人が見ればさんは喜びそうですけど、ユーステスさんにはその存在をしばらく黙ってた方が良さそうですね~」
メーテラとスーテラは、とユーステスについて語り合い、ルナール、ミラオル、ザーリリャオーの話題もさっきのとユーステスの話題を続ける。
――あれ、さっきのだらけた雰囲気と違ってきた? グウィンは、コルワ、メーテラとスーテラの三人と一緒にとユーステスについて盛り上がるルナール達に、戸惑いを隠せない。
と。
「そうそう、グウィン君、この『おこた』部屋、これから少しの間は騒々しくなりますから」
「ああ、そうだった。グウィン、この『おこた』部屋、今からちょっとうるさくなるかも」
「え?」
マキラだけではなくメリッサベルからもそう言われるもグウィンは、わけが分からず身動きが取れない。
その理由はすぐに向こうからやってきた。