その後。
イルザ、バザラガ、ゼタ、ベアトリクス、グウィンの五人もどういうわけかグランサイファーの艇に残ると言って、組織の拠点に帰らずグランサイファーの艇に残って寝泊まりする事になった。
ユーステスと一緒に居るぶん、意外と早く明日にはが元の姿に戻っているかもしれない。イルザ達が艇に残ったのは、そういう期待を込めての事だった。
因みにカリオストロとクラリスもその責任を取るよう、が元に戻るまで艇に残ると話している。
真夜中。あとはもう寝るだけの時間。
「やっと落ち着いたか……」
「にゃあ」
ユーステスは夜の騒動が一段落して、グランに用意された部屋で一人、寝台に腰を据える。
ユーステスの足元には、猫のも居る。
猫のは、ルリアとイオが作ってくれた即席のベッド――カゴに毛布を重ね入れただけの住処を提供してもらって、そこで丸まっている。
「……」
「……」
いつもであれば、がそばに居ても彼女と静かに過ごせる時間でもあった。
そのは今、白い猫になっている。
ユーステスは、まじまじと白い猫を見つめる。
見た目は猫、そのものだ。
この猫には確かに、グランが指摘するよう、いつもが大事に肌身離さずつけていた白竜騎士団の訓練生達からもらったという花のブレスレットが首輪として身に着けてあった。
いくらグランでも花のブレスレットを身に着けていなければ、その猫がであるかどうか分からなかっただろう。
それより。
「それよりお前、本当に俺を怖がらないんだな……」
「にゃあ~」
自分の顔を怖がってまた逃げられるかもしれない――、恐る恐る手を伸ばして猫の頭を撫でてやれば猫は、逃げる事なく、反対に嬉しそうな顔をしているのがユーステスでも分かった。
「ひざ、くるか?」
「にゃ!」
ひざを指させば猫はカゴのベッドから飛び出して勢いよく、ひざに乗ってきた。
「……」
「……にゃー」
「……」
「にゃ、にゃ~」
ユーステスが猫を優しく撫でると、猫は甘えた声を出す。
「犬もいいが猫、いいかもな……。今なら猫狂いと言われるダーントの気持ちも分かる」
「にゃ」
「お前、本当にか?」
「にゃ!」
「この様子を見れば猫は確かにのようだが、もし、お前がじゃなかったら……」
「にゃ?」
「……ああ、嫌な想像はしたくないな」
「にゃ……」
ユーステスは何かを振り払うよう首を振って、一息つく。
そこは静かな時間、静かな空間。
ただ、だけが存在しない。
ユーステスは何を思ったのか、猫のに向けて言った。
「……猫の、聞いてくれるか」
「にゃ?」
「俺はシルヴァとは、仕事の話をしていたに過ぎない。おまけにシルヴァの家は銃工房で、彼女の妹達もシルヴァ専用の整備士をやっていると聞いていたので、それで俺も参考になる事が多く、彼女とは銃に関する専門的な話が殆んどだった」
「……」
「が猫から人間に戻った時、あるいは、別の場所からが戻れば俺は、に今と同じ話をすると思う。それでが納得してくれるかどうかは分からないが――、俺としては戦場から帰って来た時に、人間のといつもの静かな夜を過ごしたいと思っているから、それで納得してもらえると良いんだが」
「にゃ……」
「戦場や人間の裏の顔を覗き見るような潜入捜査から帰った時に、の何も邪心の無い普通の顔を見ると落ち着いた。そして、その時にに自分のエルーンの耳を触ってもらえるだけで、こんな汚い仕事をしている自分でも普通の世界に戻れるのかと、心地良かった。それからは本当、俺のエルーンの耳をいじるのが上手くてな、帰った時ににエルーンの耳を触ってもらうのも気持ち良かったんだ。今の俺にもにエルーンの耳を触って欲しいと思ってが必要なのに、彼女は居ない」
「――」
「猫のでは、俺のエルーンの耳に触れるのは無理だろうな……。いや、反対に俺がの猫耳に触ればいいのか? いやそもそも、この猫がというなら、触るのにも気を遣う必要が――」
「にゃああっ」
「!」
ユーステスは猫のに向かって自分の思いを吐き出していたが、猫は何を思ったかそのユーステスに飛びかかってきた。
ユーステスは突然の事で、しかも相手は猫だったので、思い切り油断していた。
猫はユーステスの胸に飛び込むとその手を彼の首に巻き付け、そして――。
ちゅ。
その勢いのまま、口づけした。
それは触れ合うだけの、ぎこちないキスだった。
そして――。
「ごめんなさい、ごめんなさい、ユーステスとシルヴァさんの仲を疑った私がバカだった! 本当はそんな事は全然無い、シルヴァさんもユーステスと専門的な知識を分けてるだけってのは頭では分かってた。私はでも、自分に何も力が無いせいでこのままシルヴァさんにユーステスを取られるんじゃないか、シルヴァさんだけじゃなくて、同じ狙撃手のエッセルさんとかにも迫られたら私よりもユーステスはそっちいくんじゃないかってそれ不安で仕方なくて、その不安な時にカリオストロとクラリスが来てくれて、惚れ薬があればユーステスを振り向かせられるって持ち掛けられてそれに乗っちゃったんだよ! その薬のせいでまさか猫になるなんて思わなかった、でも、猫の私を思って艇に残ってくれるって言ってくれておまけに私にエルーンの耳を触って欲しいとも言ってくれたユーステスはやっぱり私の好きなユーステスだって思って、そう思えば猫になってる場合じゃないし、何より、猫になっていたらユーステスのエルーンの耳も触れないと思ったら悔しくてそれで早く人間に戻りたいって思った!」
「……」
「ねえユーステス、今の私の声、聞こえてる? 聞こえてないよね、猫なんだから。ああもう、何でこんな時に何もできない猫になんかなっちゃったんだろう。私のバカ、バカ……て、あれ、ユーステスの顔、こんなに近くにあった?」
べたべた。に顔を触られるもユーステスは彼女を突き放したりはせず、呆れた調子で言った。
「……、お前、猫から人間に戻ったのが分からないのか?」
「え、あ、あれ、戻ってる? ほんとだ、人間に戻ってる、やった!」
ユーステスでそれが分かったは、再び、彼に抱き着く。
が。
「、人間に戻って嬉しいのは分かるがいったん、俺から離れてくれないか……」
「ええ、何で? ……やっぱりカリオストロの惚れ薬に頼って猫になっちゃった私の浅はかなとこ、嫌になったの?」
は今回の騒動でいよいよ、ユーステスに突き放されたと思って青ざめるが、しかし――。
「――お前、自分が今、何も着ていない素っ裸だって気が付いてないのか」
「!」
ユーステスの指摘は本当で、は何も着ていない素っ裸のままユーステスと向き合っていた。
はしかしそれくらいで騒ぐほどの少女ではなく、にこにこ笑って反対にユーステスに迫る。
「ほかの男の人なら悲鳴上げて逃げるけど、ユーステスの前なら平気だよ」
ユーステスはなるべくのハダカを見ないよう、彼女から顔を背けて呆れた様子で言った。
「お前、それで俺に襲われたいのか」
「ユーステスなら襲われてもいいよ。というか、襲われたい」
「ばか言うな。外の家はともかく、この艇では誰に覗かれるか分からん」
「家なら襲ってくれたの?」
「服は……、俺の上着は組織の艇に置いたままか。お前は、毛布かぶってろ」
「わふ」
ユーステスは何かを期待するを無視するかのよう、彼女に強引に毛布をかぶせる。
そして。
「ちょっと出てくる。お前は、そこで待ってろ」
「何処行くの?」
「まだ起きてるだろうイルザの所でお前の服、借りてくる」
「あ、待って」
「何だ」
ユーステスを引き留めたのは、だった。
は毛布を体に巻き付けた状態で、ユーステスの頭を指さして言う。
「ユーステスのエルーンの耳、触らせてよ。ユーステスが此処に戻ってきてから一度もその耳に触れてないんだけど」
「……、イルザのとこから服持ってくるまで我慢しろ」
「えー、イルザさん達に人間に戻ったの分かれば、別の部屋に移されて一緒に居られなくなるじゃない。明日また仕事なんでしょ?」
「……」
「ねえ、少しの間だけでいいから、お願い」
「……」
はぁ。ユーステスは溜息を一つ吐いた後、のお願いを聞くよう、彼女の隣に座った。
「ねえねえ、さっき猫の私をひざに乗せてくれたでしょ、それのお返しで、ひざまくらしてあげるよ」
「俺は猫じゃない」
「えー、背丈の関係でひざまくらの方がエルーンの耳に触りやすいんだけどなぁー、私がこの状態で背伸びすれば毛布もずれちゃうよね?」
「、お前……」
「何? 二人きりなら良いじゃない」
「……」
ユーステスににこにこ笑ってそう要求すると、に参った様子で彼女のひざに頭を乗せるユーステスと。
は、自分のひざに乗せたユーステスの頭にあるエルーンの耳を優しく触る。
「どう?」
「……悪くない」
「ふふ。仕事で忙しいユーステスも甘える時間があって良いと思うよ。二人きりの時はこうやって私に甘えてくれたら、嬉しい」
「……、猫の時は首にあった花のブレスレット、手首に戻ってるな」
「あ、ほんとだ。これのおかげで団長さんに私だって気が付いてもらえたから、良かった。後で白竜騎士団の訓練生の子達にお礼しなくちゃね」
「……」
「何、どうしたの?」
「いや、何でもない」
「?」
は知らない。
この時、「自分もにまた誰かに騙されて何かに変身した時、彼女であると分かる目印になるような何か身に着けるものを買ってやらないといけない」と、ユーステスに決心させたのを。
ユーステスはその決心をに隠すよう、冷静に言う。
「お前だけだな、猫になっても人間になっても俺を怖がらないのは……」
「うん。私はユーステスは、目つき悪いかもしれないけど中身は優しい人だって分かってるからね。あの遺跡で初めて会った時、ユーステスは泣いている私に向けて撃たなかったし、そこから脱出する時も武器も魔法も扱えないでお荷物だった私に向かって守ればいいだけだってゼタとバザラガを説得してくれたのもユーステスだったでしょ」
「……」
あの時――遺跡で泣きわめく自分に銃の引き金を引かなかったのも、遺跡を脱出する時になって「はどうする」と渋るゼタとバザラガに向かって、「俺達で彼女を守ればいいだけだ」と説得してくれた優しさは、今でもの心に沁みついている。
「……、これがさっき猫の時のお返しだって言ったな」
「うん。そうだけど、それがなに――」
はユーステスがひざから起き上がって顔を上げたと思えば頬を持たれ、あっさりと唇を奪われてしまった。
「ん」
触れるだけの優しいキスだった。
ユーステスはニヤリと笑って、に言ってやった。
「さっきのお返しだ」
「……!」
はそれだけで顔が真っ赤になって、呆然となる。
ユーステスは軽く口づけしただけで顔が真っ赤になって呆然とするを見て、くつくつと笑う。
「何だ、自分からグイグイいっておいて、いざやられると弱いのか」
「も、もう、そのお返しがくるとは思わないでしょ普通! そのお返し、ずるくない?」
「……別にずるいとは思わないが」
「むぅ。ユーステスは、私をドキドキさせるのが上手いんだから。私もユーステスをドキドキさせたい、ユーステスだけ余裕あるの気に入らないんだけど!」
「俺の方は、とっくに余裕ないが……」
「ええ、それ本当?」
は最初、表情の読めないユーステスにそう言われるも信じられなかった。
ユーステスは淡々と言う。
「カリオストロは、に与えた薬は惚れ薬ではなく、をシルヴァのような大人で色気ある体型に変身させてくれる魔術要素の入った薬だと話していたが、あの薬にはそれだけではなくて本当に惚れ薬の効果も少しはあったんじゃないか?」
「ええ、どうしてそう思うの?」
「は、俺がどうしてそう思ったと思う?」
「え、えっと、それは猫の私にユーステスが今まで以上に優しくて、甘えさせてくれてたから? 普段のユーステスは艇でも家でも、私から攻めないとそこまでしてくれないよね?」
「それでは、お前、惚れ薬の効果まだ効いてると思うか?」
「さあ、どうかな? 私は見ての通り猫から人間に戻ってるからもう惚れ薬の効き目切れてると思うけれど――」
それは、まだ惚れ薬が効いているのかどうか。
ユーステスはと手を重ねて彼女を自分の方へと引き寄せ、彼女の耳もとで甘い声でささやいた。
「まだ惚れ薬の効き目あるかどうかそれ試してみる価値、あるんじゃないか」
「……うん」
甘い香りと共にくる、甘い時間。
ユーステスはもう片方の手はの髪と絡めて顔を近付け、もユーステスに応えようと自然と目を閉じた、その時――。
「おいユーステス、イルザがお前がのためにこの艇に残るというなら、ゼタ、ベアトリクス、グウィンのどれかも一緒にこの艇に残していた方が良いと話していたがどうする――」
がちゃり。ノックもせずに無遠慮に部屋に入ってきたのは、バザラガだった。
バザラガは部屋でユーステスと人間に戻ったが触れ合っているのを見て、数秒固まった後。
「――すまん、邪魔した」
ばたん! バザラガは勢いよくドアを閉め、さっさとそこから退散してしまった。
「ほら見ろ、この艇では誰に邪魔されるか分からん」
「あはは、そうだね。ユーステス、早くバザラガ追いかけてイルザさんの所で服借りてきてよ」
バザラガが出て行ったのを見て参ったように天井をあおぐのはユーステスで、そのユーステスに早くバザラガを追いかけてイルザの所で服を借りてくるようにうながすのはだった。
それから。
夜のうちにが人間に戻ったという話はすぐにグラン達の間に広まって、グラン達は喜び、これにはイルザ達をはじめとする組織の人間も、惚れ薬を作ったカリオストロとクラリスもほっとした様子だった。
次の日の朝。
「その、色々すまなかったな。イルザからは私が原因でユーステスとの仲を疑ってカリオストロ達に騙されてそれで猫になったと聞いて本当に申し訳なく……」
「いや、そんな、シルヴァさんが私に頭を下げる必要ないですよ。私はシルヴァさんとユーステスとの仲に嫉妬したのは本当ですけど、シルヴァさんが悪いわけじゃなくて単純に銃に関する知識が乏しい私の方が悪かったんですから」
艇にはイルザから事の経緯を聞いたらしいシルヴァがやって来ていて、がカリオストロに騙されて猫になったのは自分が原因だと彼女に申し訳なさそうに頭を下げるのはシルヴァで、そのシルヴァに慌てて頭を上げるように懇願するのはである。
シルヴァは言う。
「そのお詫びに、私の妹達――ククルとクムユには、にユーステスの銃について何か聞かれたら惜しみなく教えるようにと話してある。もユーステスの銃について分からない事があれば遠慮なく、私の妹達に聞けばいい」
「本当ですか?」
「ああ。ククルとクムユもユーステスのため勉強熱心なが来てくれるなら歓迎すると話していた。そうだ今度、私達の工房でユーステスの銃に関する勉強をしてみるというのはどうか。私達の工房が次のの預かり先候補にならないか?」
「わあ、私、一度、シルヴァさん達の工房に行ってみたかったんです。ありがとうございます。次の預かり先はそこに決まりです!」
「ふふ、に喜んでもらえて良かった。私も妹達も、次の預かり先でがうちに来てくれるのを楽しみにしておこう」
シルヴァにそう誘われたは、本当に嬉しそうだった。
そして。
「あの、私がシルヴァさんとユーステスの仲を嫉妬したのは、シルヴァさんのようなお姉さんに憧れてたからです。私は強くて格好良いシルヴァさんがお姉さんで、ククルとクムユちゃんが羨ましかったんです」
「……」
「私も将来はシルヴァさんにはなれなくても、ユーステスの役に立てるよう、ククルやクムユちゃんみたいなユーステス専属の整備士にもなりたいと思ってるんですよ」
「ああ、なら将来、私の妹達のよう、ユーステス専属の整備士にはなれるだろう」
「それから、シルヴァさんのおかげでユーステスとの仲も少し良くなったんです。ユーステスは私の将来の事も考えてくれるって」
「そうか、それは良かったな」
「はい。また何かあればシルヴァさん達に聞いて良いですか?」
「構わない」
「ありがとうございます。あ、私、そろそろ朝ごはんの準備をしなくてはいけないので、もうローアインさん達の所に行きますね、それでは」
ぱたぱた。はシルヴァにそう言い残して、朝食の準備のために厨房へ向かった。
シルヴァはが厨房へ行ったのを確認して、二人のやり取りを見守っていたイルザの方へ視線を移した。
「イルザ」
「何だ、と話しはついたのか」
「ああ。、いい子だな」
「そうか、それは良かった」
イルザもシルヴァとの関係が良くなったと分かって、胸を撫で下ろした。
と。
「ところでイルザ、イルザはがユーステスと結婚となればを自分の義妹にしたいと私にも常々話していたが……、その気持ちは今でも変わらないのか?」
「うむ。がユーステスと結婚となれば、を自分の義妹にする計画は今でも変わらんよ。まあ、がユーステスと結婚せず別の男が相手になってもそれに変更はないが。それがどうかしたのか」
「その……、私もを自分の妹に迎え入れたいと思うんだが。私に、譲ってくれないか」
「何だと? シルヴァ、お前、クムユとククルはどうする気だ」
「ククルとクムユも私の妹で変わりない。が私の妹の一人として増えるだけだ」
「シルヴァ、貴様、それ以上妹を増やしてどうする!」
「そういうイルザにもゼタ、ベアトリクス、グウィンといった三人の妹みたいな娘達が居るじゃないか。イルザは、彼女達を放っておいていいのか」
「あの三人娘は私の義妹候補ではなく、私の愛しい家族の一人という位置づけだ。私はあの組織の人間達を、自分の家族のうちであると認識している。彼女達だけではなくて、ユーステス、バザラガ、そして、私についてきてくれる部下達も私の家族の一部ではあるがそれは、の義妹とはまた別の話だ」
「ふむ。しかしイルザとユーステスがその家族の一員でも血の繋がりはないし、がユーステスとは別の相手を選んだとしても、それでイルザがを義妹にするのは元から無理な話じゃないのか?」
「ぐっ、シルヴァこそ、自分達とは血縁関係も無ければ相手の男とも関係無いを自分の妹に迎え入れたいとは、おかしい話じゃないか。それに私と違って、本物の家族であるククルとクムユもいい顔しないだろう」
「さっきも話したがククルとクムユは、ユーステスで勉強熱心なであるなら歓迎してくれるさ。それからククルはあと一人くらい世話焼ける妹が欲しい、クムユも自分を慕ってくれる妹が欲しいと話していて、その二人の願いを叶えるにはが丁度良いと思った。それでが私の妹になってくれれば私達の工房も安泰だな、ふふふ……」
「は将来、私の下で働きたいと話していた。そのを義妹として迎え入れる私の計画は誰にも邪魔させんからな!」
その後もイルザとシルヴァの不毛な言い争いは、が朝食を運んでくるまで続いたという。
「やれやれ、不毛な言い争いだ。義妹のはともかく、イルザかシルヴァ、どちらかの義姉を迎え入れなければいけないユーステスの方が大変そうだな。ユーステス、強く生きろよ……」
イルザとシルヴァの不毛な言い争いを聞いていたバザラガは、グランの要請で艇に来るもが人間に戻ったので出番がなくなってしまったダーントと彼の周りに集う猫について話しているユーステスを見て、彼に思いきり同情していたのだった。