現在、ヘルタ・ステーションにて。
「お姉さまあああ!!」
「久し振りね、温世玲! 元気にしてた?」
星穹列車から降り立ったを見て一番に駆け寄って遠慮なく抱き着いてきたのは、応物課で一番を慕っていた温世玲であった。
の後方には開拓者、なのか、サンデー、姫子、ヴェルトのいつものメンバーも揃う。
「ええ、ええ、元気ですとも! 私のお姉さまもお変わりなく!!」
「温世玲、私もうお姉さまなんて年齢じゃないわ。それに、あれから立派に大人になったあなたの方がよほど、お姉さまじゃない? 背丈も私より高くなっちゃって……」
「いえ、いえ! お姉さまは、いつまでも私のお姉さまですわ! その変わらない美しさは、今も私の憧れです!」
「ありがとう。私も温世玲と再会できて嬉しいわ。後で、お茶しましょ」
「は、はい、お姉さまの仰せのままに!」
にっこり微笑めば温世玲は顔を赤くし、そこから離れた。
次に来たのは。
「さん、お帰りなさい。さんが出て行ってからはカンパニーの社員でなくても、交渉役にあなたが必要だって、思い知りましたよ。私一人では、若手社員になめられる始末で……」
「温世斉、そうでもあの時の私は、あなたほどショップのアイテムの知識はなかったわ。あなたのその知識の豊富さに、私も助けられてた」
「さん……。うう、ヘルタに罵られようが、温明徳課長に蹴られようが、若手のカンパニーの奴らに笑われようが、十年待ったかいがありましたよぉお」
うわああ。ショップ担当で現在もアフロ頭の温世斉は感極まったのか人目も気にせず、ハンカチを目にあて、泣いていた。
次に来たのは。
「! 私は君が戻ってきてくれるのを、信じていたよ!」
「温明徳課長! お変わりないようで、何よりです。でも、数年前、開拓者から討伐隊の隊長は引退なされたと聞きましたけど」
「いやあ、私も年でねえ。が出て行った後も討伐隊の隊長頑張ってたんだけどある時、腰やられてからは若手に任せて、デスクワーク一択だよ。そうでもヘルタがこの使えない私を置いてくれてたのは、君が戻ってきた時に私が必要だって思ってくれてたんだろうけど、情けない姿を晒しちゃって……」
「いえ。私もここに戻ってこられたのは、温明徳課長あってこそだと思ってます。それから、温明徳課長の才能は討伐隊を引退されても素晴らしいものだってヘルタもそれを分かってるから、その席に残してたんだと思いますよ」
「!! やはり、私にはが必要――うわあっ」
感動のあまりに抱き着こうとした所、それを遮ったのは。
「――温明徳課長でも俺のに触るのは、容赦せんぞ」
「や、やあ、丹恒も相変わらずで何よりだよ」
と温明徳の間を丹恒の槍がさえぎり、それを阻止したのだった。温明徳は情けなくよろけ、それを支えるのは――。
「温明徳課長、に丹恒がついてる間はそれまずいですって~」
「エイブラハム!」
遅れてきたエイブラハムが現れ、彼は温明徳を支えて立ち上がらせた後、と向き合う。
「やあ、、久し振りだね。の第二王妃様としての活躍の話は、遠く離れたステーションでも聞いていたよ」
「私も、私と同じⅡ階級のエイブラハムが応物課でⅣ階級、主任まで昇進したと聞いた時は、自分の事のように嬉しかったわ。あの時、皆と一緒にお祝いできなくてごめんなさい」
「いやいや。君も大変だったろうに、私の事まで気にする必要ないよ。これからは、君と一緒にまた仕事ができるのが楽しみだ」
「エイブラハム、ありがとう……」
今度はが泣きそうになる番だったが、堪える。
それからエイブラハムはの隣で槍を掲げて睨みを利かせる丹恒を見上げ、呆れた様子で言った。
「それから丹恒、君、クロムだけじゃなくて仙舟でもどこでもと正式に夫婦として認められてるのに、今でもその姿勢は崩してないんだねえ」
「当たり前だ。俺とが夫婦になってからも、を誘う男達が多くて敵わんからな。俺がを見張っておかないと自分好みの男に誘われればついていってあっちへフラフラ、こっちへフラフラ。第二王妃時代からそれなんだから、ステーションでも、先が思いやられる……」
「何よぉ、自分だって旅先で常に可愛い女の子達と一緒で、開拓者と『なのか』に挟まれてハーレム化してるじゃないの。私も旅の間に開拓者と『なのか』、サンデーにそれの見張り頼んでて、丹恒がそこで私の知らない所で私の知らない女とよろしくやってたのが発覚すれば、こっちも容赦しないんだからー」
はぁ。の面食いに参った様子の丹恒と、旅先での丹恒のハーレム化に不満を持つと。
と――。
「ふふ、と丹恒、二人揃って相変わらずなのは、何よりだわ」
「そうだな。人間、どこでも変わりないのが一番いい」
「アスター、アーラン!」
の前に、アスターとアーランも現れた。
アスターの腕の中には、ペペの姿もあった。
「ペペも元気だった?」
「わん、わん!」
がアスターの腕の中で大人しくしているペペを撫でれば、嬉しそうに吠えてくれた。
アスターもペペの頭を撫でながら、ペペの近況を話した。
「ペペももう年でね、あまり動けないの。でも、が戻って来てくれたのを見てからまた元気になったみたい」
「そう、それは何よりだわ」
アスターはそれから、の腕につけられている、あるものに注目する。
「、仙舟のお祭りで買った丹恒とお揃いの琥珀の腕輪だけじゃなくて、仙舟で祝言あげた時に仙舟同盟の上層部の長老達から贈られたっていう黄金の龍の腕輪、見せてくれる?」
「いいよ。星槎レースのお祭りで買った琥珀の腕輪の反対の腕にはめてるのが、仙舟で丹恒と祝言やったさいに仙舟同盟を束ねる長老達から贈られた、黄金の龍の形でできた腕輪~」
は自慢そうに、その黄金の龍が形作られ腕に巻きついている腕輪をアスターに見せつける。
あの時――ディアンのお城で丹恒のプロポーズを聞いたは、迷いなく『はい』と返事をした。
その後、同じ部屋に居るスタッフ達から盛大な拍手と歓声が沸き、その話は、一日足らずでクロム全土に広まったのだった。
クロムの住人達はと丹恒の結婚を歓迎し、祝福した。
はそれから丹恒と一緒にクロムを出て、仙舟に戻る事になったのである。
それからまた大変な目にあうとは思わず。
は丹恒と仙舟に戻ったはいいが、彼と夫婦として認められるには仙舟同盟の権力者――、上層部に君臨する長老達と面会を果たしてその許しを得なければいけないと、雲騎軍の景元将軍から告げられたのである。
普通の持明族の男と殊俗の女の間ではそこまでする必要はないが、相手が龍尊の飲月君であるというから話は別だと、景元将軍はに困ったように話した。
は最初は仙舟同盟の上層部に君臨する長老達と会うのは初めてで、何をされるか分からずに怖かったが、相手の丹恒も一緒だというのでそこは安心できた。
仙舟同盟の上層部に君臨する長老達はを見るなり、仙舟同盟ではない殊俗――その中でも無能力で無資格、更には罪人として処刑される寸前の女が羅浮の龍尊の飲月君を相手をするのは前代未聞である、我らの恥だ――、そう、容赦ない言葉を浴びせたのである。
それでもは丹恒と一緒になりたいという思いを、長老達に訴える。丹恒もと同じ気持ちだと彼らに訴えた。
二人のその想いが長老達に届いたのかどうか――。
『――羅浮の雲騎軍の景元将軍や天舶司の長官である御空だけではなく、各地の将軍達や長官達も、羅浮の龍尊の飲月君相手はこの殊俗の女しか考えられない、彼女以外の女を飲月君にあてがえば再び、飲月君で、今回は羅浮だけではなく仙舟同盟全体で最大級の災厄が起きるとも脅された。そこまでの女かと今回目にすれば、なるほど、確かにそこまでの女のようだ』
『それじゃあ……』
『汝、その生涯を羅浮の龍尊、飲月君のために使う覚悟はあるか』
『は、はい、もちろん!』
『では羅浮の龍尊、飲月君と寄り添いたいのであれば、これを』
長老達から渡されたのは、黄金の龍で形作られた腕輪だった。
『これは?』
『これは、羅浮の飲月君以外、仙舟同盟の各地に君臨する龍尊達の意志が込められたもの。彼らの意志にそぐわない人間がはめれば、その身を焼き尽くすであろ』
『……本当?』
長老は恐ろしい事を言って、にそれをつけるように促したのである。
丹恒を見れば彼は溜息を吐いて『彼らの言う通りに。何かあれば俺の槍で助けられる』と、に長老に従うように言った。
は恐る恐る、黄金の龍をその腕に巻き付けた。丹恒も槍を構え、見守る。しかし、何も起こらず、静かなまま。
そして。
『もう我らの前に来る必要はない、立ち去れよ』
長老は一言だけ言って、と丹恒を追い出したのである。
長老達の謁見が終わり戻ってきたを出迎えた景元は、の腕に巻き付いている黄金の龍を見た後、微笑み、
『おめでとう。はこれで、羅浮だけではなく、仙舟同盟全体で丹恒殿と晴れて夫婦として認められた。、よくやった。開拓者達との縁で、羅浮以外の各地の将軍や長官達を味方につけたのが大きかったか。御空舵取と太卜の符玄殿に伝達、仙舟の羅浮はこれから新しい世代に生まれ変わる準備に入る、心せよ――』
景元将軍はそう言って、秘書、それから、雲騎軍の兵士達に指示を飛ばした。神策府に集う仲間達からも盛大な拍手が送られ、ようやく、仙舟の羅浮で祝言をあげる事ができたのだった。
現在、ヘルタ・ステーションにて。
アスターは黄金の龍が巻き付いているの腕をまじまじと見詰め、羨ましそうに言った。
「の琥珀の腕輪見た時も思ったけど、やっぱり、仙舟の工芸品、どこよりも凝ってて美しい芸術品だわね~。一説ではそれ、はめれば死ぬまで外せないって聞いたけど、本当?」
「まさか。ちゃんと外せるよ。今回は式典でつけてるだけで、普段の業務には目立つし邪魔だから、つけてこないと思う」
「そう。仙舟は相手を呪う呪具も扱ってるって聞いてたんだけど、デマだったか。仙舟の上層部の長老達って外部の人間に厳しくて気に入らない相手は秘密裡に燃やすって聞いたけど、さすがに龍尊の花嫁さん相手にそこまでやらないわよね~」
「ああ、そうだ、これくれた長老達が言うには、私が仙舟だけじゃなく、丹恒を裏切るような事があればこの龍が私に制裁を下すとは聞いたけど……」
「何それ、怖ッ! あの人達、さすが仙舟の生ける屍と言われるだけの事はあるわねえ」
「はは。まあ、私が仙舟と丹恒を裏切るというのは私が生きている間は有り得ないから、丹恒が旅先で私を裏切る率の方が大きいと思わない?」
「そうね。もし、丹恒の裏切りが分かれば、にいつでも私の強力な武器、貸してあげるわよ?」
「アスターの金に物を言わせた強力な武器があれば、丹恒でも一撃だわ。そうなった時、遠慮なくそれ借りるのでよろしく~」
「いつでもどうぞ~」
は、アスターと笑いあう。
その間、アーランはとアスターの話を聞いていて、丹恒と震えていた。
「丹恒、アスターお嬢様の金に物を言わせてオプション色々付けてる強力な武器は本当、威力半端ないからな。ステーションでも相手に油断するな、背後に気をつけろよ」
「肝に銘じる……。そうはいっても、の方も大概だぞ。あいつ、俺が開拓の旅で不在の間はクロムでは俺と恋人として付き合ってるのを隠してるんだ。表向きはに俺がついてるのが分かると交渉相手が委縮するというが、実際は自分好みのいい男が現れればそいつについていく目的だったからな。正式にと夫婦と認められたぶん、その癖が治まるといいんだがなぁ」
「はは、お前も昔と変わらず面食いな相手には苦労するか。そういや、そこの会場でカポーティーを筆頭に、の親衛隊の奴らが花束抱えて待ち構えてるが」
「アーランと同じ、ステーションの古株のあいつらは俺との関係を十分に知っているし、俺に手出す勇気なくて無害であるのは分かってるからな。警戒するべきはヘルタ目当てと言いつつ、目当ての外からの来訪者だ。カンパニーの社員はもちろん、アベンチュリンとか、アベンチュリンとか」
『おいおい、僕ほど無害な人間居ないぞ! 好みの高級な酒とつまみの好みを把握してるくらいで! あ、そうだ、今日も好みの高級な酒とつまみ、持ってきてたんだ。後で二人きりで飲もうと思ってさー』
ははは。名指しされたアベンチュリンから、と二人きりで飲むのを前提に彼女の好みの酒とつまみを持ってきたと愉快そうに笑う音声の割り込みがあり、それを聞いた丹恒はアーランと顔を見合わせ、そして。
「な、外からの来訪者が一番危険だ」
「同感。あいつ、幸運が味方についてるから怖い物知らずで、カンパニーに復帰した後に再びステーションに来るようになったはいいが、専属護衛の俺の前であってもアスターお嬢様にも手出そうとしてたからな。こっちも要警戒リスト入りだ」
丹恒とアーランはお互いの苦労を知って、一瞬で理解しあったという。
そして、最後に彼女の前に現れたのは――。
「――私を差し置いて、随分、楽しそうじゃない。アンタ達、此処が私のヘルタ・ステーションであるのを忘れたのかしら」
「ヘルタ」
とうとうヘルタ本人が現れ、今までの和やかな雰囲気と違い、場に緊張感が走る。
ヘルタはの前まで来ると、彼女を前にして挑戦的に話した。
「――・ディアン、あなたが再び此処に来たという事は、あなたの旅はもう終わったのかしら?」
「……いえ、まだ旅の途中よ、ヘルタ。私の旅はまだ終わっていないわ、その途中、このヘルタ・ステーションに再び帰ってきたの」
「ふん、つまらない、満点の答えね。アンタが仙舟で晴れて丹恒と祝言をあげて正式に夫婦になった後、クロムはディアンの第二王妃をはく奪されて追放されたって聞いたから、此処を逃げ場所にするんじゃないかと思ったけれど」
ヘルタはと丹恒を見比べ、意地悪く言った。
は丹恒と顔を見合わせ、丹恒は無言で「ヘルタに遠慮は無用、言ってやれ」と表情だけでに向けて合図した。
は「了解です」と、丹恒にこれまた表情だけで返し、そして。
「私、丹恒と夫婦になってからクロムで追放されたわけじゃなくて、ちゃんと跡継ぎを決めて来たのよ、それ、カンパニーにも申し出て受理されたの、ヘルタ・ステーションまで届いてないのかしら。それから、丹恒と夫婦になってから確かにディアンの第二王妃の役をはく奪されたけど、そうしたのは、仙舟同盟を統括する長老達から龍尊である丹恒と外部の女が夫婦になるには仙舟の人間になるか、クロムを抜けて無所属になるしかないって言われたからそれに従っただけよ」
は昔からの念願だった丹恒と婚姻関係を結ぶのを受け入れたものの、仙舟同盟を統括する長老達から龍尊の飲月君を相手にするには同じ仙舟同盟の人間になるか、無所属に限ると言われてしまった。
『白露が飲月君を継いでくれるこの機を逃せば、次に仙舟同盟の長老達にそれが認められるのは百年後になる』
たとえ龍尊でも仙舟の長老達を説得するのは難しいようで、困ったように丹恒に言われてしまったのも大きかった。
はしかし、最初から自分は仙舟の人間になる気はなかったので、あっさり、クロムを抜けて無所属――当初の目的だったヘルタ・ステーションに戻る決心を固めたという。
そうでもは最初、クロムを置いて自分だけがまた宇宙へ出てもいいものかどうか迷ったが、彼女の背中を押してくれたのは、ディアンに戻っても何も言わずずっとついてくれてたロイだった。
『姫、いつまでクロムのために頑張る気だ。もう十分だろ。姫もそろそろ、自分の好きにしろよ』
そう言ってくれたのは嬉しかったし、感極まって彼の前で子供のように泣いてしまったのは後から考えると呆れるものだったが、ロイは泣きじゃくる彼女の頭を撫でながら、
『オレの前では姫はずっと、姫のままだ』
そう言って笑ってくれたのにもまた、泣きそうだった。
肝心のクロムはディアンの住人達からも『第二王妃様ももう、自分の好きにするべき』という意見が圧倒的で自身の跡継ぎも投票で決め、ディアン、それから、クロムを出てようやく、仙舟で祝言をあげ、仙舟でもどこでも、丹恒と自分が夫婦として認められたのである。
その中では胸を張って、続ける。
「そういってもクロムのディアンの現地では第二王妃様、まだその役は降ろされてなくてクロムで何かあれば私の所に来る手配になってるし、跡継ぎの子も何かあればステーションまで連絡ちょうだいとは、話してある」
「その跡継ぎ、信頼できるの? アンタまだ、クロムでぬくぬくと第二王妃様やってた方が良かったんじゃないの~」
「それね。私、ディアンの国王陛下、ウォルターの友人で兵士長やってた人の息子を跡継ぎにしたの。兵士長の息子ほど、信頼できる人間、居ないわ。それから彼もレギオンでやられて殉職した父の友人だった人の跡を継ぎたいと、自ら申し出てくれてね。ディアンの国民も彼が次の王に相応しいって言ってくれて、投票でも彼が一番だった」
兵士長は残念だったけれど、彼の息子とその家族がディアンの跡継ぎになってくれると申し出てくれた時には、自分の全てが許されたと思った。
そしては自信に満ちた表情で、ヘルタに挑む。
「それから私、此処を逃げ場所に選んだわけじゃないわ。クロムは第一の故郷で変わりないけど、宇宙では第二の故郷として、このヘルタ・ステーションを選んだの。ヘルタからすればそれ、迷惑だった?」
「……いえ。それに関しては、別に問題ないわ。がクロム以外で此処を第二の故郷に選んだという事は、アンタは生涯、私の相手になる覚悟で来たわけ?」
「ええ。ヘルタなら、いくらでも相手になるわよ?」
「全く。十年旅してきた後でも、無能力で無資格だった頃と変わってないわ。というかと丹恒、表情だけで会話してんじゃないわよ。これもアンタが仙舟で獲得した能力ってわけ?」
「いや、普通に長年連れ添った夫婦間の能力だと思うけど」
「はいはい、ご馳走様~。また人目も気にせず夫婦でイチャイチャしてるって、ほかのスタッフ達の苦情が来なければいいけどね」
それからヘルタはに手を差し出し、口の端を上げて言った。
「は丹恒との関係で第二王妃様の称号をはく奪され、夫人呼びになったっていうけど、私の中ではアンタはまだ第二王妃様なんだけど?」
「そう。ヘルタがそれを認めてくれるのであれば、何とでも?」
は迷いなく彼女のその手を受け取り、微笑む。
そして。
「ヘルタ・ステーションにお帰りなさい、・ディアン第二王妃様。また昔と同じよう鍛えてあげるから覚悟なさい」
「ただいま、ヘルタ・ステーション。またよろしくね、ヘルタ」
彼女の色のついた旅は、まだ途中――。