これは、まだヘルタ・ステーションに開拓者が現れない頃の話だ。
スタッフ専用の部屋で机の上に自撮用のカメラ、自販機で買ったいくつかの缶の酒類、スナック菓子を用意し、素肌に緑色のキャミソール、スリット付きでフリル付きの白いスカートといった、制服ではないの姿が映っている。
『はいはい~、今回も始まりました、と丹恒のイチャイチャチャンネル~』
『そのバカっぽいタイトル、毎回、いるか?』
そのと会話しているのは、向こう側――ヘルタの任務で地上に降りていた丹恒だった。
『丹恒と二人だけの限定チャンネルといっても、それの雰囲気だけでも味わいたくない? 丹恒との配信前にいくつか有名な配信チャンネル見て、勉強したんだよ』
『その下着みたいな際どい服もそれのうちか。お前、私服はいつもシャツに短パンといった素っ気ない感じだったじゃないか。まあ、それも良かったが』
『あら、丹恒的には、それも良かったの? 私から見ればそれ、制服と同じで、地味だと思ってたんだけど』
『……』
『でもこれ、どう? いつものシャツと短パン、ステーションの地味な制服じゃつまらないから、配信用に下着みたいなエッチなキャミとスカート、買ったんだよ。部屋で着るぶんにはいいでしょ、可愛いし』
『どこで買ったんだ、それ。へんな店じゃないだろうな』
『カンパニーが運営しているネットショップだよ』
『カンパニーのネットショップ……。お前、それ、誰から教わった。配信教わったレオナードか? あいつの趣味かそれ』
『違うよ、同じ応物課の女性スタッフだよ。彼女、ロッカーで制服脱いだ時にこれ系のファッションよくやってて、以前からどこで買ってるか興味あってさ。先日、思い切ってその子にそういうの、どこで買ってるのかって聞いたんだ。そしたらカンパニーが運営するネットショップについて、色々教えてくれたんだよ。
その子も彼氏持ちで、そこで彼氏のためにこの手のエッチ系の服や下着も買ってるっていう話も聞いて、とても勉強になった』
『それならいいが。ネットショップで気軽に買えるとはいえ、そういうの着るの、俺の前だけにしとけよ』
『分かってるってー。あと、足見て、スカートのスリットから覗くのは、初ガーターベルトだよー、ほかの女性配信者がやってたの真似して、チラ見せ、チラ見せ。どう?』
『……』
『おまけで丹恒の好きな、おっぱい注目、新しい黒色のブラ、チラ見せ~。これにあわせて、下着も可愛いの買っちゃった』
『おい、そのエロい下着も教わったの、本当に応物課の女性スタッフからだろうな』
『本当だって。その証拠に、気が付かない?』
『何を?』
『キャミの緑、白のスカートは丹恒が着てるコートと同じカラーじゃない』
『あ』
『黒色のブラは、丹恒のコートの下の黒いシャツにあわせてる。お揃い!』
『お揃い……』
『ネットショップでも丹恒カラー探すの大変だったんだから。これで疑うの?』
『いや、それなら信用できるし、お前がつけると色っぽくていい。似合ってる』
『ふふ。これ、気に入ってくれたら投げ銭、欲しいなー』
『うわ、投げ銭も知ってるのか?』
『配信内容が良ければ、視聴者さんからお金もらえるんでしょ。それ聞いて、故郷での生活、思い出しちゃって。私としては、たまらないシステムだわ』
『……(故郷の第二王妃時代、あれだけ贅沢三昧してりゃ、配信の投げ銭システムはたまらないよな)』
『で、丹恒は、私のエッチなこれにいくら出せる?』
『……一万ポイント』
『嘘、ほんと?』
『俺が任務から帰って来た時、それ着て迎えてくれるならな。そのエロい下着も込みで』
『やったー。無事に帰ってきたら、これ着て、下着だけじゃなくて、ナマ肌も触らせてあげる! あ、オプションで、抱き着き、ひざ枕もありだよ』
『あと、一万追加するからそのオプション付けてくれ』
『いいけど、大丈夫?』
『何が』
『その、そこまで出してもらえると思わなかったから。丹恒が自分で稼いだの、私に使って良かったのかな、と』
『護衛稼業なめんな。俺はが思う以上に稼いでいるし、それを配信とかお揃いとか、俺のために色々やってくれてるに使えるのはむしろ、ご褒美だな。なら、いくらでも出せるから、気にするな』
『やだ、カッコイイ~。惚れ直しちゃったじゃない』
『うむ。俺も、の新しいファッション見れて良かった。それ、お前に教えてくれた応物課の女性スタッフ、それから、と離れていても生配信でそれが拝める事ができる技術を提供してくれたレオナードに感謝だ』
『うん。私も生配信の技術で、この新しい格好、離れている丹恒に見せれて良かった。後で、その子とレオナードにお礼言っておくよ』
『ところで、ひとついいか』
『何?』
『さっきから、頭についてるの気になるんだが』
『あ、これ、猫耳カチューシャ。猫のしっぽもついてるよ! 生物学者の丹恒なら気に入ると思って、ショップで見つけちゃった。可愛い?』
『……、そういう時、猫っぽい鳴き声出すもんじゃないのか』
『丹恒、よく分かってる、にゃ!』
『まだ猫っぽくないな。猫っぽくやったら、もう一万追加するが』
『にゃーにゃにゃ!』
『よしよし。帰ってきたら、存分に可愛がってやろう』
『にゃー!』
『俺の可愛い猫、土産のこの餌(菓子)、どっちがいい?』
『にゃにゃにゃ!』
『食べたいなら、振りだけでも、口開けろ。ほら』
『にゃーん』
『くっ、ここまでやって、肝心のナマの触れないのが悔しい。生配信だとお互いの姿が見られて声も聞こえていいが、これの弊害もあるのか……』
『だね。私も丹恒触りたいのに触れないの悔しい、にゃ。でも帰れば、その倍、触りたい放題にゃよ!』
『そうだな。それを楽しみに、今の仕事、全力でやり遂げよう』
『待ってるにゃー』
以下、猫と化したと丹恒で、途中で『、丹恒さん、それ、全宇宙に配信されてる!』とレオナードの焦った注意の声が届くまで、延々に甘ったるい会話が続いたという――。
ぷつん。
開拓者は思った以上に過激な内容にたまらず、自分の手で途中で配信録画を切ってしまった。
「さん?」
「いやあ、やれば投げ銭してくれる丹恒に求められたら、それに応じるしかないじゃない。それに、これが全宇宙に配信されてるとは思わず……」
同じように配信を聞いていたは顔を真っ赤にして、頭を抱え、その場に座り込む始末だった。
それより。
「ていうかエステルさん、と丹恒のイチャイチャ配信、録画してたんだ……」
「ふふ。閉鎖的なステーションでここまでの娯楽配信、中々ないですから」
開拓者はエステルが自分の端末にと丹恒のイチャイチャ配信を録画していると分かって引き気味だったが、エステルは開拓者に閉鎖的なステーションでは一番の娯楽であると主張する。
エステルは言う。
「でもこれのおかげで、の丹恒への想いと彼相手にあそこまで頑張ってるのかも分かりまして、反対、いつもは私達相手でも冷静で素っ気なかった丹恒も相手にあそこまで落ちぶれるのが分かって、ここまで面白い関係、中々ないって、ステーションのスタッフの間で評判になったんですよ」
「あ、さっき、レオナードもこれのおかげで、ステーション内でと丹恒の支持率が上がったって、話してました」
「ええ。これきっかけで、私も丹恒相手に色々頑張るに手を貸したくなったんですよ。それだけじゃなくて、と丹恒の遠距離恋愛を見ていると、私も若い頃を思い出しましてねえ」
「エステルさん、若い頃、みたいな遠距離恋愛してたんですか?」
「ふふ。どうかしら?」
「……」
エステルは笑顔ではぐらかすだけ、開拓者もそれ以上は聞き出せなかった。
「私とレオナードだけじゃなくて、ほかの課のスタッフ達も、あそこまで丹恒相手に必死なを見ていたら、手を貸したくなると話してましたよ。
丹恒は丹恒で、で普通の男に成り下がって親しみやすいのが分かって男性陣から人気出たらしいですね」
「なるほど。この配信ミスのおかげで、の丹恒への頑張りが分かって、女性陣からの支持率上がったのか。丹恒の方は普段は冷静で素っ気なかったぶん、で親しみやすいのが分かって男性陣から支持率が上がったと」
ふむ。開拓者は、エステルの話を聞いて、それは納得するものだった。
エステルは言う。
「それで、私のアカウントを貸しているのも、が配信用で着ていた衣装が似合ってたからです。彼女、地味な制服より、私服の方が似合うもの多いとあれで気が付きまして。それで私もにほかの子達と同じように配信で着て欲しいものをリクエストしてたんですが、Ⅳ階級の私で買えるものがのⅡ階級では買えないものがあるというのもこれで分かりまして、それで時々、私のⅣ階級のアカウントを貸すようになったんですよ」
「ああ、それで、、Ⅳ階級のエステルさんに頼ったんだ?」
「そう。エステルさん、私のチャンネルのいいスポンサーになってくれたんだ。こっちは、エステルさんのリクエストに応じればⅡ階級では買えない高めのドレス買えるから、その申し出は、ありがたい話だったの」
は開拓者にうなずいた後、手元にある端末をエッセルに見せ、それの確認を取る。
「エステルさん、今日の配信か次回で、これとこれ着る予定なんですけど」
「あら、いいですね。これとこれも付けたらどうです? こういうの、殿方は喜ぶんじゃないですか?」
「いいですね! エステルさんのリクは、私でも色々参考になるんだよねー。注文しちゃおー」
にへへ。エステルからリクエストを受けたは嬉しそうに、注文確定ボタンを押していく。
とエステルのやり取りを見ていた開拓者は、その疑問を口にする。
「エステルさんがにアカウントを貸すの、分かった。で、さっき、レオナードが部屋飲み配信の日だって話してたけど、丹恒とは二人だけの限定配信以外にもチャンネル持ってたの?」
「それなんだけど。エステルさんの言うよう、このイチャイチャ配信がきっかけで、何故か私と丹恒のやり取りがステーション内だけじゃなくて、外でも評判になったんだよね。
男性陣達からは私のお酒飲む姿見たい、女性陣からはエステルさんと同じく私が選んだ衣装可愛くて似合ってて良かった、ほかのも着てみたらっていうリクエストもらっちゃって。
それだけじゃなくて、ステーション以外で配信見てた人達からも二人限定配信はもったいない、また全宇宙に向けて配信してくれたら投げ銭奮発するとか言われてそれで、丹恒と二人限定以外の配信チャンネル持つようになったの」
「丹恒、それに了解したの?」
「丹恒は全宇宙に向けての配信は、いい顔しなかった」
「だよね」
「でも投げ銭魅力的だったから、丹恒抜きで私一人だけでその配信、やるようになったの。給料日になれば配信用の衣装用意して、部屋で飲みながらダラダラ過ごすだけの配信、やってるってだけ」
「部屋飲み配信てことは、そこで、お酒飲んでるの?」
「うん。自販機でお酒買っての、部屋飲み配信。私が部屋でお酒飲んでるだけで投げ銭してくれる人も現れてね。けっこう、いいお小遣いになってるんだ」
「そりゃ、その大人しそうな顔でお酒がグビグビいけるの分かれば、に投げ銭したくなるファンが現れるわ」
開拓者は、大人しそうで清純なが酒を一気飲みできると配信で分かれば、ファンはつくなと思った。
それから開拓者は、気になる事をに問い質す。
「あと、はその配信で丹恒も参加するってあったけど、その時はさっきみたいな際どいエッチな衣装、着てるの?」
「いや、それも丹恒がいい顔しないから、全宇宙に向けての配信じゃそこまでやってないよ。エステルさんみたいに、普通に女性スタッフのリクエストに応じて可愛い衣装選んで、着てるだけ」
「二人限定配信の時も可愛いの選んでるの?」
「あー、そっちの時は、丹恒のリクエストに応じてさっきの際どいエッチな衣装が多いかな。丹恒の都合があわない時は、エッチな自撮り写真送ってる」
「エッチな自撮り写真て。丹恒でも、その手の欲しがるのか……」
「うん。丹恒、開拓者や『なのか』と長い旅に出てる間は、その手の、要求してくる。中でも丹恒の故郷の仙舟の時は、私のエッチなもの欲しいって、その手の要求、けっこうあったかな」
「……、、いくら丹恒の頼みでも、そういうの、嫌じゃないの?」
「全然。ほかの女は嫌だけど、私で満たされるなら大歓迎だわ。私も丹恒相手限定で、そういう格好するの、嫌いじゃないから」
「そう。が丹恒のそれに了解してるならいいけど。そうだ、さっき、レオナードが丹恒に過激な写真送ったのが引っかかってるって言ってたのは……」
「うん。私はそのへんよく分からないけど、レオナードによれば、ステーションの規約で写真でもハダカとか下着とか、そういうの引っかかるんだって。前、バスタオル一枚の送ったら、引っかかった」
「うは。バスタオル一枚て、そりゃ引っかかるわ」
「それがあって、開拓者のアカウント借りるの控えてたの。私の過激な写真や買い物のせいで、開拓者のアカウントが使えなくなったら困るでしょ。エステルさんのはⅣ階級だから制限なく使えるって聞いてるから、そこは安心してる」
「なるほど、そういうわけね」
バスタオル一枚に呆れる開拓者と、笑い飛ばすだけのと。
それより。
「しかし、丹恒て、真面目で堅物、それを裏付けるように遠征先でも女に誘われても応じなくてその手の店に行ってる風でもなくて、そういうの興味無いと思ってたけど、意外と、エッチなもの、好きだったんだねえ」
「あはは。丹恒、ああ見えてムッツリだよ」
「そうかあ。で、丹恒、どういうのが好きなのか分かってるの?」
「それね。エステルさんのアカウントで買わせてもらうけど、紐だけで支えてるビスチェ風とかキャミみたいなエッチなのとか、生物学者らしく、さっきの配信にあった猫とか犬のアニマル系のコスとか」
「うわあ。丹恒、いい趣味持ってんな。いや、でも確かにこれ着たら似合うし、可愛い……。これからは丹恒先生じゃなく、丹恒師匠と呼ばせてもらうわ!」
は手持ちの端末でショッピングサイトを表示させ、エステルのおかげで買えるようになった際どいエッチな衣装を選び、それが丹恒の趣味の一つであると、開拓者に教えたのである。
開拓者はで丹恒の隠れた趣味を知って引き気味であったが、それは確かにが着れば似合いそうだし可愛い、自分が丹恒ならこれ選ぶかもと思って、思わずそう叫んでしまった。
「ああそうだ、開拓者、今夜その部屋飲み配信するんだけど、ゲストで来ない? その時、『なのか』も誘えたら誘ってよ」
「そうだなあ、の部屋飲み配信、どういうのか興味あるし、それに『なの』も参加すれば楽しそうだから、声かけとくよ。でも私と『なの』、お酒苦手なんだけど、いいの?」
「大丈夫、大丈夫。お酒飲めなくても、普通にお菓子持ち寄って、いつもみたいに、おしゃべりするだけでいいから。開拓者と『なのか』の旅の話聞きたいっていう視聴者さん、いっぱいいると思うし。そうだ、その時、私の配信仲間も連れてくるけどいいよね」
「配信仲間?」
「たまになんだけど私一人じゃ配信やってけないから、女性限定で、私の応物課だけじゃなくて、ほかの課の女性スタッフ呼んでるの。そこでヘルタの許可得て、ステーションの広報活動とかやってるんだ」
「ヘルタの許可得て、ほかの課の女性スタッフ呼んでのステーションの広報活動? お酒飲むだけじゃなかったの?」
は指折り数え、うなずく。
「私だけじゃあまり投げ銭増えないから、アーランの防衛課、レオナードのメンテナンス課、エステルさんの密巻課、あと、界種課、地理課、法政課、医療班の子も来てくれて、ステーションでどういう仕事やってるか話してくれるっていうのやってるの。時々、アスターもペペと一緒に入ってくれて、そういう時は一人の時よりも投げ銭増えるから、助かってる」
「……、ってさっきの配信でもあったけどその見た目に反して、お金に目がなくて、色々欲深いよね。そういうとこは、アスターと気があいそう」
「ふふ。実際、アスターとはそれで通じ合ってる」
は故郷で第二王妃の時代、国王の相手をする代わり、お金はいくらでも使えたので、自分の欲望のまま、高級なドレスや宝石はもちろん、食べ物や酒類に使っていた。同じくお嬢様でお金の使い方が荒いと評判のアスターとは、その部分で気があった。
は丹恒の手で宇宙に出てからはその欲は控えていたが、故郷にはなかったネットのショッピングサイトで斬新なファッション、配信と投げ銭システムを知って、その欲が再び目を覚ましたのだった。
の裏を知らない開拓者は、彼女の話に感心したようだ。
「はあ。私はレオナードだけじゃなくてアーランや温明徳の課長クラスからも、課同士の交流は希薄で、お互い、何考えてるか分からないって聞いてたけど。女同士の間じゃそこまでじゃなかったんだねえ」
「――そこは、だからこそ、ですよ」
「エステルさん」
今までと開拓者のやり取りを黙って聞いていたエステルが、ここで割り込んできた。
「アスターの紹介でが来るまで私達の関係は、開拓者やレオナードの言うよう、希薄で素っ気なかったんですけど。は、自分の分からない所は階級と応物課関係なく、それに詳しい人間を見付けて、あっさりそこに頼ってきますからね。頼られる人間側も、別の課でもに素直に頼られるのは、悪い気しないそうです。
のそれがあって、私達は、課をまたいで交流するようになったんですよ」
ひといきついて、そして。
「Ⅱ階級でも、のその対応力は素晴らしいものです」
「おお。、Ⅳ階級のエステルさんからそう言われるなんて、凄いじゃん」
「えへへ」
開拓者はエステルからに対するその評価を聞いて、自分の事のように嬉しかった。も照れ臭そうに、髪をいじる。
「開拓者、あなたもですよ」
「え、私も?」
「ええ。だけじゃなく、開拓者が来てからも、私達の課をまたいでの交流が盛んになりましたから。開拓者、あなたもよくやってると思います」
「エステルさん、ありがとう……」
開拓者はエステルからそう言われて、胸がいっぱいになった。
そして。
「エステルさんのおかげで、お目当ての衣装が買えました。ありがとうございます!」
「いいですよ、これくらい」
はいくつかの配信用の衣装を選んで買った後、エステルにアカウントを返した。
エステルはが注文した衣装を確認した後、穏やかに言った。
「今夜の部屋飲み配信、私も視聴してますから。そこで購入したあなたの衣装のお披露目、期待してますよ」
「はい。エステルさんの評価、楽しみにしてます」
はエステルと握手をかわし、そこから引いた。
それからエステルは開拓者に向けて、改めて言った。
「は最初から、誰相手でも、礼儀正しいですからね。私やほかのスタッフ達も、のそこも評価してるんです」
「はい、それは、私もよく分かります」
開拓者はエステルの話はとても理解できると、改めて、の対応力に感心を寄せる。
「それでは、失礼します」
「失礼します」
と開拓者の二人はエステルに礼をした後、そこから離れた。
そして。
「私、これから部屋に戻るよ」
はこれからは部屋に戻って配信の準備をすると、開拓者に話した。
「開拓者、今夜、『なのか』と一緒に部屋まで来てくれると嬉しい。今回の部屋飲み配信は多分、丹恒も参加すると思うから」
「分かった。『なの』と行けたら、行くよ」
開拓者はとそう約束して、別れた。
開拓者もの部屋飲みチャンネルは興味あったし、配信ミスの時のような過激な内容ではないと聞いて、気楽に構えていたのだった。